会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

市場を壊す「3月期」の呪縛(日経より)

市場を壊す「3月期」の呪縛(記事冒頭のみ)

2021年12月に新規株式公開が30社超あったが集中しすぎだ、マーケットを壊しているという記事。

12月に集中するのは、3月期決算会社の上半期の結果が出た時期に上場申請すれば、年間計画を下方修正する可能性が低くなるから、という理由だそうです。

IPO直後の下方修正を過度に恐れるようになったのは、2014年のgumiショックが原因とのことです。

gumiショックの影響で...

「15年3月に東証と日本取引所自主規制法人は日本公認会計士協会に対し「新規公開の品質向上に向けた対応のお願い」と題する要請をした。上場直後に業績予想を大幅修正する場合には前提条件やその根拠の適切な開示をするよう求めた。東証の永田秀俊上場推進部長は「主幹事証券や監査法人は、東証は上場直後の下方修正は認めないと受け止めたのではないか」とみる。」

決算期をずらすことが解決策だといっています。

(記事の中で出てくる会計士協会などの報告書というのは、会計士協会が出したものではなく、金融庁に設けられた「株式新規上場(IPO)に係る監査事務所の選任等に関する連絡協議会」の報告書のことでしょう。ただし、そこでは、決算期の話はほんの少し出てくるだけのようです。むしろ、中小監査事務所をIPO監査に活用するというのが、この報告書のポイントのひとつとなっています(それが上場会社監査事務所登録制度法制度化につながった?)。)

IPO関連記事。IPOは企業の成長に有害な面もあるようです。

上場後3年で「4社に1社がマイナス成長」のなぜ(日経ビジネス)

「企業が成長するために投資はあってしかるべきものである。ただ、上場前後の成長投資は実のところ、柔軟性を持って行うことができない。

...上場準備中にM&Aを実行すると上場に向けた審査期間が延長になる可能性があり、資金調達をはじめとした計画が大きくずれてしまうことから選択肢として選びづらくなってしまうのだ。

また、上場準備中は将来に向けた新規事業投資や大規模なマーケティング投資を手控える場合が多い。...

そして上場後は毎期、増収増益が投資家から期待される中で、増益を維持できる範囲内でしか、成長投資が行いづらいという壁も待っている。...

ベンチャーにとって成長の「ゴールデンタイム」である上場前後に成長投資を絞れば、上場後、成長が減速するのは火を見るより明らかである。」

IPOがだめだというのではなく、「先ほど挙げた成長阻害要因を解決することができれば、IPO後により大きな成長ができるはずだ」という主張です。
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