東証スタンダード上場 大手仮想通貨取引所のトップが、台湾で指名手配されていた
リミックスポイント(東証スタンダード)の代表取締役社長CEOが、台湾で指名手配されているという記事。
個人的な不祥事が原因ではなく、ビットポイント台湾という現地の会社との民事訴訟の関連で、刑事告発され、指名手配までされているということのようです。
「指名手配書にも被害者として名前が挙がっているBP台湾にも取材を行った。
「2018年、弊社はBPジャパンとの提携の元にサービスを開始しました。弊社が担当するのはフロントデスク業務のみ。集客やログイン画面の運営は弊社が担当していましたが、それより先の取引システムの運営から顧客の個人情報や口座残高の管理はすべてBPジャパンが行うという、いわゆるホワイトラベルです。弊社はBPジャパンに毎月100万円のブランドフィーを支払い、台湾の顧客が支払った取引手数料を、両者で分け合うという契約でした」(BP台湾法務担当者)
そんな両者の協業関係に亀裂が走ったのが、2019年7月の不正流出事件だ。
「台湾の顧客も同様に被害を受け、結果的に2億5000万円相当の不正流出が確認されました。これについては、当時BPジャパンの代表取締役社長だった小田氏は当初、補償する姿勢を見せていました」(同前)」
「ところが、被害の全容把握のために、BP台湾側が顧客の過去の取引データを調査したところ、その何倍もの金額がどこかに消えていることが判明したという。
「もっとも大きいのは送金の未反映です。弊社は業務開始以来、顧客の口座への入金分など、約41億2000万円相当をBPジャパンに送金しているのですが、両社間の資金のやり取りを記録した清算表には計35億9000万円しか反映されておらず、5億3000万円ほどが行方不明となっているのです。同様の矛盾は、両社の帳簿を比べた際に散見されます。
ほかにも、スプレッド(買値と売値の差)の計算が間違っていたり、一つの約定IDに複数の取引が存在していたりと、不審な点がいくつも見つかりました」(同前)
そこでBP台湾は、不正流出による顧客の被害額に加え、こうした不正や誤りによる損害額を合計した約10億2400万円の弁済をBPジャパン側に要求したという。しかし……。
「小田氏が当初、対応する姿勢を見せていた不正流出に対する補償も含め、BPジャパンはまったく弁済に応じませんでした。2019年8月に東京地裁に民事訴訟を提起し、現在も公判が続いています。」
その一方で、顧客らともに、小田氏個人を台湾の警察当局に刑事告訴、逮捕状が出ましたが、台湾にはいないため、指名手配となったそうです。
文春の報道を受けて、リミックスポイントからプレスリリースが出ています。
一部報道の件について(リミックスポイント)(PDFファイル)
「...本件民事訴訟については、当社及び BPJ は、BPTW ら原告の請求及び主張には理由がないものと判断しており、訴訟手続において BPJ の見解の正当性を主張しているところです。
他方で、台湾において、BPTW 及び同社の台湾顧客3名(以下あわせて「刑事自訴原告」という。)は、本件事故を奇貨として、当社代表取締役であり BPJ 代表取締役副会長(現在。当時は BPJ 代表取締役社長)である小田玄紀(以下「小田」という。)個人を被告人として、2020 年3月、詐欺、業務上横領、台湾商業会計法違反を罪状として、刑事自訴(以下「本件刑事自訴手続」という。)を台北地方法院に提起しました。なお、台湾では、現地法令上、被害者による刑事訴追が認められています。
本件刑事自訴手続では、BPTW ら刑事自訴原告は、BPJ と BPTW との取引において、小田について詐欺、業務上横領、商業会計法違反に該当する事実があった、本件事故に関連して小田について詐欺、業務上横領に該当する事実があったとの主張を行いました。ところが、刑事自訴原告が主張するような事実は一切なかったものと判断しております。
小田は、これに対し、本件刑事自訴手続において、台湾現地の弁護士らを弁護人として選定し、当該弁護人を通じて、台北地方法院における準備手続及び審理手続に真摯に対応し、刑事自訴原告らが主張する事実は存在せず、また、刑事自訴原告らの訴えは現地法律に定める犯罪構成要件を充足する内容となっていない、したがって、小田については無罪であることを主張してきました。
台北地方法院は、本件刑事自訴手続の審理上、被告人である小田に対する直接の尋問が必要であると判断して、初回期日(2020 年7月 14 日)を含め4回、小田に対し台北地方法院への出頭を求めてきました。ところが、新型コロナウイルス感染症感染拡大の懸念、台湾政府による防疫上の台湾への入境制限に加え、台北地方法院が指定した出頭期日が当社の決算発表等のタイミングと重なるなどを理由として、小田は、欠席届を台北地方法院に提出したうえで現実には出頭せず、もっぱら現地弁護人による対応としてきました。なお、小田としては、本件事故に関連する紛争の早期解決を図るため
にも、東京にある台北駐日経済文化代表処等に赴き当該場所からリモートでの証言録取又は尋問を行うことも検討するよう、現地弁護人を通じて台北地方法院に働きかけましたが、刑事自訴原告であるBPTW がこれに反対したこともあり実現しませんでした。なお、小田が台北地方法院による出頭要請に応じてこなかったのは、逃亡等の意図はなく、上記のとおり、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延状況下において台湾への出入境を行うとそれによって生じる隔離期間の負担等から、上場企業の代表取締役としての職責を果たし得ないと判断したこと等によるものであり、正当な理由があっ
たものと判断しております。
しかるに、2022 年4月 18 日頃、台北地方法院は、小田が同法院への出頭を求める召喚に応じてこなかったことを理由として、小田に対して「通緝」を発令することを決定し、同月 25 日、当該「通緝」発令の事実は台湾政府当局のウェブサイトにおいて公表されました。」
「台湾の刑事訴訟法によれば、被告人が逃亡し又は蔵匿される場合、裁判手続中は裁判所長が署名した通緝書をもって、「通緝」を発令することができ、当該「通緝」が通知又は公表された後に、検察官、司法警察官は被告人を拘引又は逮捕することができるとされています。」
台湾の裁判所からすれば、召喚に応じないのだから、逃亡しているということになるのでしょう(日産ゴーン事件でゴーン氏に逃亡された日本の裁判所と同じ立場)。
その一方で、日本の会社からすると、単なる取引上のトラブルで、経営者個人が指名手配されるのでは、安心して海外ビジネスはやれないということになるでしょう。
そのほか、管理上の問題としては、現地の会社との取引が、正しく処理されていたのかどうかという問題がありそうです。少なくとも、不正流出があったとすれば、何か不備があったのでしょう。