三重県の「エヌ・ケイカンパニー」という鉄道部品販売会社が、架空発注で裏金を作っていたという記事。東証1部上場会社も絡んでいるそうです。金額は驚くほどのものではありませんが、新幹線の安全にかかわる部品の製造に関係しているので、比較的大きな扱いとなっているようです。
「東証1部上場のメーカー「東洋電機製造」(東洋)=東京都中央区=から、部品やその製造に使う金型を受注したが、金型は作らず別工法で部品を製造し、金型代を浮かせていたという。裏金は年間約3000万円に上り、関係者は一部が東洋の社員に渡ったと証言する。」
「複数の関係者によると、NKは東洋から「シム」(調整板)と呼ばれる部品を大量に受注。・・・
NKはシムをプレス加工するための金型も東洋から受注したが、ほとんど作っていなかった。金型代は1個200万~300万円。金型はNKや下請け先が管理する段取りだったため、無くても東洋側に発覚しなかったという。シム自体は、金型を使わない切削加工で別の業者に発注し、東洋に納品していた。
さらに、金型や部品について、NKは大阪府内の業者に架空発注して伝票や金だけを動かし、業者は約1割の手数料を引いてNK側にキックバックしていた。業者は「税金のかからない裏金にするために協力した」と説明し、少なくとも2010~11年の1年間でNKから約3000万円の入金があったと証言。「裏金の6割は東洋の社員に渡すとNK幹部から聞いた」と話す。
複数のNK関係者も取材に対し、東洋の当時の担当者に社員が裏金の一部を定期的に持参したと証言。数百万円に上る月もあったという。」
記事でも指摘していますが、上場会社である東洋電機製造の内部統制の問題でもあります。
「部品の品質について東洋は「エヌ・ケイカンパニー(NK)から受け入れる際に検査している」と話す。しかし、今回問題になったシムという製品は0.1ミリ単位で隙間を調整し、精密さが要求される新幹線などの駆動部分で重要な役割を果たす。結果的に問題が生じないとしても、品質を改めてチェックすべきだ。
東洋の管理体制も再検証する必要がある。NKの裏金作りには「金型預かり」という仕組みが悪用された。東洋が発注した金型は、部品の加工業者が預かる。裏を返せば、金型を作らなくても東洋の管理が甘ければ発覚しない。管理体制の甘さが品質への影響を招かなかったか。弁護士や公認会計士などの第三者を交え厳正に調査すべきだ。」
東洋からすれば金型は架空資産ということにもなりますが、金型は法定耐用年数を使っていれば2年で償却ですから、貸借対照表に与える影響は大きくないかもしれません。
架空発注:NK、金型の証明書を偽造(毎日)
「証言では、証明書が偽造されたのは10~11年ごろ。NKの社員が愛知県内の鋳造業者の事業所に行き、金属加工品などを撮影。パソコンで写真を加工して東洋から受注した金型のように装い、NK側が金型を預かっていることを示す証明書を偽造したという。
NK関係者は「東洋の担当者から社員が、『何かあった時のために一応作ってくれ』と言われた」と証言。・・・」
部品架空発注:依頼主側に接待攻勢 三重の会社(毎日)
「NK関係者らによると、東洋の担当者が地元に来る際は、社員総出で接待した。「賭けマージャンや賭けゴルフに1回数十万円動くこともあった」という。東洋の担当者が勤務する横浜に行く際には、社員が取締役から「ちょっとこれを持って行け」と頼まれることがあった。A4の封筒に入った数百万円の札束で、横浜の歓楽街などで東洋の担当者に渡したという。」
本日の新聞報道について(東洋電機製造)(PDFファイル)
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事