ジャスダック上場のエフティコミュニケーションズとその子会社であるハイブリッド・サービスで発生したLED照明の不正取引事件を取り上げた記事。会社のサイトをみると、2010年3月期と2011年3月期の決算も訂正され、2012年3月期有報も提出が7月末になってしまったようです。
「7月25日、ビジネスフォンなどOA関連流通のエフティコミュニケーションズ(FTC・ジャスダック)とその子会社でトナーやLED流通ののハイブリッド・サービス(HBD・ジャスダック)の社長が、一連の事業内容を精査していた第三者委員会の「調査報告書」の提出を受け、退任した。
・・・
また、証券取引等監視委員会(証取委)は、開示調査課がFTCとHBDの一連のLED関連の取引と適時開示に問題があるとして調査に入っている。近く課徴金処分が下される見通しだ。「闇」を明るく照らし、ウミを出す作業が始まった。」
当サイトでも何回か取り上げた電通ワークスの事件と関係があるようです。
「LED照明の基本部品は、チップ(半導体)と電源とチューブ(管)。このうち、チップの価格が過半を占め、「注文を受けた時点で確保しなければならない」として代理店は前渡金を要求するのが慣例になっている。電通ワークスのケースでは、その割合が発注金額の50%にのぼっていた。
その結果、どうなったか。
「見込み発注や思惑発注が殺到し、資金繰りのために注文を出す詐欺のような代理店もあった。そんな業者が10数社、電通ワークスに群がった。120億円、80万本というバカげた注文が発生したのは、そうやって累積した赤字を、壮大に糊塗するのが目的だった」(商流に参加した代理店社長)」
「代理店は、JFEエンジニアリング、電通ワークス、全農ハイパックのそれぞれに複雑に絡むが、例えば電通ワークスの商流を、シンプルにまとめると次のようになる。
最終ユーザー→代理店→電通ワークス→製造・代理店→FTC」
「120億円の発注は、電通社内でも問題となった。結局60億円でストップするのだが、間でブローカーがむしり取ったこともあり、FTCに直接発注する製造・代理店のワールドワイドエンジニアリング(WWE)は、FTCへの未払いを続けていた。その額は約17億円。2012年3月期の決算が売上高443億円、経常利益14億円のFTCにとって容認できる数字でない。電通ワークスやWWEとの長い交渉の末、今年3月、電通ワークスからLED照明の事業譲渡を受ける際、在庫の安値譲り受けという形で、ようやく解消した。」
社長の不正疑惑もあったようです。
「別紙を入れて55ページにも及ぶ調査報告書に詳しいのでここでは記さないが、ff氏に前渡金を渡したうえでのクルーザーの転売疑惑、電通ワークスの商流で発生した5億円もの紹介手数料と畔柳氏への還流疑惑などが指摘されている。」
第三者調査委員会報告書の受領に関するお知らせ(PDFファイル)
調査報告書では、冒頭で、調査の限界についていろいろと書いています。外部の会社や個人の名称については、記号になっています。電通ワークスといった固有名詞は登場しません。
会社の支払った前渡金が、相手の会社(AA社)で使途不明になったり、売上先の会社(BB社)がAA社と実質的に一体であったり、実際に出荷が確認できた売上と確認できない直送取引が混在していたり、そもそも関係している会社がペーパーカンパニー(しかもFTCの役員や従業員が関与)だったりと、あやしい点は多くあるようですが、調べきれていないようです。
紹介手数料についても
「本件紹介手数料は、特にEE 社(注:手数料の支払先)からいわゆるペーパーカンパニーであるDD 社に対して総額376,439,000 円もの金額が振り込まれ、現金として引き出されている点で、異常なものであるという疑念は払拭し難い。」
としていますが、
「例えば、本件紹介手数料の支払がその全部又は一部を畔柳氏に収受させることを意図したものであるなどにより、不正な取引であったという可能性も排除することはできないものの、当委員会が認定できる事実に依拠する限りでは、本件紹介手数料の支払が不正な取引であったということはできないものと思料する。」
というようにあいまいな結論になっています。
決算の訂正自体は、売上を仕入返品に訂正などで、あまり重要なものではないようですが、監査に関して言えば、不明点が解明しきれていない状態で、監査意見を表明しなければならないというのは、なかなかたいへんなことです。
平成24 年3月期に係る有価証券報告書の提出および財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)
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