マツダの2011年3月期連結決算が、震災の影響で600億円の最終赤字となったという記事。
ただし、震災の直接的な影響というより、税効果会計が効いたようです。
「・・・12年3月期の業績に及ぼす震災の影響が不透明なことから、税金の前払い分として計上している繰り延べ税金資産から約567億円を取り崩したため、巨額の最終赤字となった。」
特別損失の計上および繰延税金資産の取崩しに関するお知らせ(マツダ)(PDFファイル)
「今回の東日本大震災による来期以降の当社業績への影響が不透明であることから、繰延税金資産の回収可能性について検討した結果、連結決算および個別決算において、繰延税金資産の一部 56,697 百万円を取り崩すこととし、法人税等調整額に計上しました。 」
当サイトの関連記事(会長通牒について)
会計士協会の会長通牒「東北地方太平洋沖地震による災害に関する監査対応について」では、「繰延税金資産の回収可能性の判断」という項目で以下のように述べています。他の会社(特に業績のふるわない会社)でもおそらく検討していることでしょう。
「繰延税金資産の回収可能性に関しては、今回の災害が企業の将来収益力にどのような影響(一時的か長期的かなどを含む。)を及ぼすか、特に災害発生による主要な計画要因の将来変化の可能性に留意し、翌期以降の事業計画又は利益計画の見直しの要否について、検討することになると考えられる。」
最終益は約2倍の5340億円、ホンダの3月期 新興国で販売好調(産経)
同業のホンダは、マツダ以上に震災の直接的影響を受け多額の特別損失を計上していますが、全体としては好調だったようです。
ホンダのプレスリリースをみると、不思議なことに、(米国基準と日本基準の差だと思われますが)連結と単体で、震災の特別損失の金額が大きく異なっています(連結<個別)。
2010年度第4四半期および当年度 連結決算の概況(本田技研工業)
「2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、Hondaおよび一部の国内連結子会社で有形固定資産の損壊、国内生産拠点や研究開発拠点の一時的な操業休止、棚卸資産の滅失などの被害がありました。当連結会計年度における当該災害による損失は約457億円です。なお、災害により損壊した有形固定資産の撤去や原状回復に関する費用のうち次連結会計年度以降に発生すると見込まれる金額については、当連結会計年度の連結財務諸表に計上していません。
(ご参考)個別財務諸表上は、原状回復・撤去費用を含めた約737億円を特別損失に計上しています。」
次期以降の原状回復・撤去費用を引き当てるかどうかの差のようです。
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