みすず監査法人が、7月末をめどに所属する公認会計士ら全社員・職員を移籍させる方向で、トーマツ、新日本、あずさの3大監査法人と基本合意したという記事。
「今後、3大法人と具体的な協議を進める」とのことなので、まだはっきりしたことは決まっていないようですが、他の監査法人も人員不足ですから多くの会計士が他の大手法人に移籍することになるのでしょう。しかし、今回の事件で監査業界に嫌気がさして、離脱する会計士も相当出てくるかもしれません。いまならJ-SOX対応で、一般企業やコンサル会社などに就職することができます。
以上は会計士の話ですが、クライアントの方はどうなのでしょうか。有力企業や財務が健全な企業なら、どこの監査法人でも歓迎でしょうが、ゴーイングコンサーンがついていたり、不正経理がマスコミなどでとりざたされている(または取りざたされたことのある)企業は引き受け手がいないかもしれません。新興市場の会社は監査人を見つけるのに苦労する可能性があります。
記事では「みすずは後任の監査法人の選定について「顧客の判断に任せる」との立場だ。個別の支援策は明らかにしておらず、後任を見つけられない企業が出る恐れがある」と書いていますが、昨年から適用されている監査品質基準でも、監査受嘱の際のチェックを厳しくやるように定められているので、受け入れ側の3法人は、どの会社でも受け入れるというわけにはいきません。
みすず監査法人、大手3法人への業務移管検討を発表
こちらの記事では「監査手法の違いなどが障害となり、業務や会計士の移管が円滑に進まない場合」がありうるといっています。
監査法人に対する金融庁の検査でも、部門間や、本部と地方事務所間で、監査手法(マニュアルなど)や細かい管理のやり方が統一されていないことが指摘されているそうですから、受け入れ側で統一的に管理できるレベルの人員しかとらない法人もあるかもしれません。監査の品質維持のためには、当然採用できた人員に見合ったクライアントしか受嘱できないということになります。
残った3つの大法人も、現在、金融庁から改善指示を受けている身です。これから何か不祥事が起きれば、さらに数が減るかもしれません。
ところで、みすず解体の引き金を引いた日興コーディアルはどうなるのでしょうか。
みすず、会計士移籍で3大監査法人と基本合意
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