日本公認会計士協会は、非営利法人委員会研究報告第27号「社会福祉法人の経営指標~経営状況の分析とガバナンス改善に向けて~」を、2014年7月24日付で公表しました。
「社会福祉法人の経営状況の分析に資する指標・・・を整理して提示することを目的」とする研究報告です。
付属資料として、さまざまな経営指標とその計算式、定義、解説が示されています。ただし、具体的に基準となるような数値は示されていません。「今後、社会福祉法人の財務諸表等に関する情報開示が十分な信頼性が確保された形で進展することを前提として、各指標について信頼できるデータの蓄積と、指標ごとの法人分布等に関する分析を進め、経営状態を評価するための基準値の整備に向けた検討を進めることが必要である」としています。
報告書名の中にも入っていますが、社会福祉法人のガバナンスについてもふれています。
「本研究報告においては、社会福祉法人におけるガバナンスを「社会福祉法人が、適正な法人経営を確保することによって、社会からの役割期待に応えるための統治の仕組み」と捉える。ガバナンスの在り方を考える際には、誰による、誰に対する統治か、という点が問題となる。この点につき、公益に資することが期待されるとともに非営利法人として持分の存在しない社会福祉法人においては、利害関係者による法人経営者に対する統治と捉えられる。
社会福祉法人の利害関係者には、地域社会、利用者(受益者)、職員、政府、国民及び金融機関等の資源提供者等が含まれる。これらの利害関係者は、社会福祉法人が、利用者及び地域社会の福祉ニーズに応え、法規制遵守はもとより、安全衛生、人権、労働、財務その他の資源管理等の各観点から適正運営を確保し、より良い形で長期持続的に社会福祉サービスを提供し続けることを期待している。」
この報告書との関係はありませんが、最近、社会福祉法人への風当たりが強いようです。
公取委が指摘 保育所運営で「社福優遇」(現代ビジネス)
「まず社会福祉法人とは何か。そもそも「法人」とは、法的には権利義務の主体たる資格(権利能力)を認められたものである。・・・
その法人には2種類、各省横断的な「横断法人」と各省縦割りの「縦割法人」がある。株式会社は前者であり、医療法人、学校法人、農業法人、特殊法人、独立行政法人などは後者にあたる。
横断法人の場合、法人格は一般法で与えられるので各省の縄張りはないが、縦割法人は法人格を各省が与えるためその縄張りがはっきりしている。社会福祉法人は後者の縦割法人。保育所や老人ホームを経営するために設立される法人であるため、厚生労働省の縄張りとなる。
縦割法人を守るために、縦割法人を優遇し、横断法人を差別するのは、各省の「掟」である。」
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