公正取引委員会が、新規株式公開時の公開価格の値付けに関する報告書を公表したという記事。
「公取委は、強い立場の主幹事が一方的に適正でない公開価格を設定し、新規上場企業に不利益を与えるのは独禁法の「優越的地位の乱用」に該当する恐れがあると指摘した。
公取委は2021年8月に調査を始め、過去1年間にIPOで上場した75社や主幹事を務めた証券会社22社から書面調査で回答を得たほか、複数社に聞き取りもした。」
「IPOディスカウント」が、独禁法上問題になりうるのだそうです。
「公開価格が低くなる要因として、上場が承認された時点で付ける「想定発行価格」が低いことが挙げられる。想定発行価格は主幹事が上場した類似企業の業績や株価などから算出する。その際、開示情報が少ないなどの理由で適正価格よりも割安に設定する「IPOディスカウント」という商慣行がある。
証券会社への調査では90.9%がディスカウントを実施していると答え、6割は「20%以上30%未満」の割引料率を設定していた。想定発行価格の決定を巡っても、82.2%の企業は主幹事が主導したと回答した。」
しかし、独禁法違反の具体的事例はなかったとのことです。
「調査の過程で明確に独禁法違反となる事例はなかった。」
バラ色の予想(場合によっては粉飾決算)によって、公開価格を高くすれば、「上場ゴール」だといって責められ、低すぎると新規上場企業の資金調達を阻害していると責められ、証券会社もたいへんです。
公取委、一方的値付けは「独禁法上問題に」-IPO価格で注意喚起(ブルームバーグ)
「政府が昨年決定した「成長戦略実行計画」によると、欧米では初値が公開価格をおおむね10%から20%上回るのに対し、日本は48.8%との結果が出た。政府はこの点を踏まえ、実態把握と公開価格設定プロセスの在り方について見直しを図る方針を示していた。
一方、日本証券業協会の作業部会では、公開価格と250営業日後の株価を比べたところ約4割の銘柄で公開価格を下回っているとのデータが示され、「市場価格に比べて公開価格が抑制されているとは言えない」との主張も出ている。」
(令和4年1月28日)新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について(公正取引委員会)
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