金融庁は、ひびき監査法人に対する行政処分を、2023年3月31日付で行いました。
公認会計士法第34条の21第2項第3号に規定する「運営が著しく不当なものと認められるとき」に該当するとのことです。
処分の内容は、業務改善命令です。
処分理由の詳細については、処分勧告時の当サイト記事をご覧ください。
「業務管理態勢」に関する部分の冒頭だけ引用すると...
「当監査法人は、経営理念として、「信頼される監査法人」、「人を大切にする監査法人」及び「変化に対応する監査法人」を掲げており、投資家や被監査会社からの信頼を得るために、自由闊達な議論ができる組織風土を醸成し、監査を取り巻く環境の変化にキャッチアップする必要性を認識しているとしている。また、理事長及び品質管理部長は、社員会等において、品質管理の重要性について繰り返し強調するほか、研修等を通じて、監査品質を改善するための施策の浸透を図っているとしている。」
これだけでは、何の問題もない立派な監査法人ですが、これに「しかしながら」で続けて、これでもかこれでもかと不備点を列挙しています。
「業務改善命令の内容」は...
「(1)法人代表者は、職業倫理の遵守を重視する組織風土の醸成に主体的に取り組み、社員及び職員に職業的専門家としての誠実性・信用保持の重要性を十分に認識させ、法令等を遵守して業務を遂行させる態勢を整えること。併せて、組織的に監査の品質を確保する必要性を十分に認識し、現行の監査の基準や、監査の基準が求める手続の水準に対する理解を法人内部に浸透させるなど、十分かつ適切な監査業務を実施するための環境整備に向け、当監査法人の業務管理体制の改善に主体的に取り組むこと。
(2)法人代表者は、審査会の検査及び日本公認会計士協会の品質管理レビューにおいて指摘された不備の根本原因を十分に分析したうえで改善策を策定及び実施するとともに、改善状況の適切な検証ができる態勢を整備すること。併せて、監査ファイルの最終的な整理や、その後の監査調書の管理が着実に行われるよう実効性のある措置を講じるなど、当監査法人の品質管理態勢の整備に責任を持って取り組むこと。
(3)現行の監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(非支配持分の検証、構成単位の固定資産の減損、企業結合取引における無形資産の評価と開示及び収益認識に関する誤謬リスク対応に係る監査手続など、審査会の検査において指摘された事項の改善を含む。)。
(以下省略)」