東証1部上場、不動産ファンド運営のクリードが、会社更生法の適用を申請し、受理されたという記事。負債総額は650億円。
「クリードは96年に設立され、ファンドを使った不動産流動化事業で業績を拡大し、08年5月期の連結売上高は423億円。ドイツや韓国でも投資を行っていたが、サブプライムローン問題の表面化で不動産市況が悪化し、所有するオフィスやマンションの販売が滞った。人員削減や事業売却を進めたが、1月上旬が期限の債務返済にめどがつかなかったという。 」
帝国データバンクのこちらの記事によると、売上高が急成長していたようです。
不動産運用、投資
東証1部上場
株式会社クリード
会社更生法の適用を申請
負債650億8100万円
「近年においては、不動産の流動性の高まりから運用不動産投資資金の流入が活況を呈するなかにあって、当社も資産の拡大やREIT事業の取り組みを推し進めるなど積極的に展開。この結果、2005年5月期に約98億9500万円だった年売上高は2007年5月期には約197億3700万円、2008年5月期には331億9300万円に達していた。」
会社のプレスリリース(PDFファイル)
帝国データバンクの記事の数字は単体の数値です。プレスリリースによれば、2008年5月期の連結売上高は423億円、当期純利益は27億円であり、立派な数字です。
2008年8月の第1四半期決算においても黒字です。貸借対照表をみると、棚卸資産(不動産)が約730億円に対し、流動負債に計上されている借入金と社債の合計が約530億円ありますが、これだけでは異常とはいえません。
典型的な黒字倒産ということになるのでしょうか。
クリード・リート・アドバイザーズ株式会社に対する検査結果に基づく勧告について(金融庁のサイトより)
「クリード・リート・アドバイザーズ株式会社(以下「当社」という。)は、クリード・オフィス投資法人(以下「当投資法人」という。)との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている当投資法人の資産の運用に関し、平成18年3月、当社の親会社等の利害関係を有する者から物件を取得するに際し、1物件について、当社が定めるアスベストを使用している物件の取得に係る投資方針等の基準を満たすための対応を怠り、当投資法人に不要な費用の支出をさせた。また、他の1物件について、増改築工事中の賃料未収入期間を考慮することなく、当投資法人に資産を取得させるなどしていた。」
昨年11月には子会社が証券取引等監視委員会から勧告を受けています。今回の破綻とは直接の関係はなさそうですが、一般論として、アスベストを使用している不動産については、それなりの対策を立てておかないと資金化に時間がかかるということがあるのでしょうか。
当社子会社に対する証券取引等監視委員会による検査の結果に関するお知らせ(PDFファイル)
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