岡山県と北海道が、住宅供給公社などに対する貸付金を適正に会計処理せず、2007年度に赤字決算を免れていたという記事。
「岡山県は07年4月、年度内の返済が見込めないにもかかわらず、「おかやまの森整備公社」と「岡山県住宅供給公社」に計751億円の短期貸し付けを実施。翌年4月に08年度予算から新たな貸し付けをし、それで前年度分を返済させていた。」
ネットの記事だけではからくりが理解しづらいのですが、15日の日経朝刊1面に少し詳しい説明があります。
「地方自治法は「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない」と定めている。」
「自治体が不適正な処理をできる背景には、国と自治体に特有の「出納整理」と呼ばれる制度がある。3月末までに実施した公共事業の支払いや、決算上必要となる資金調達を四月と五月にしても、前年度分として会計処理できる仕組みだ。」
日経記事では会計士協会会長が「企業であれば粉飾決算」とのコメントを述べていますが、企業会計であれば、貸付しただけでは費用や損失にはならないわけですから、粉飾とはちょっと違うような気もします。公会計のことはよくわかりませんが、企業会計のように複式簿記を使ってフロー(この例であれば貸付金の増減)とストック(貸付金の残高)が整合的に把握されていないというところが問題のように思われます。
ネットでみてみると、「出納整理」という制度は、年度末までに生じた未収・未払いを4・5月で精算しなければならないというだけのことです。決算のルールというよりは、債権回収や支払のルールにすぎないと思うのですが、収支計算(=決算)とむすびついているために、理解しがたいものとなっています。
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