インサイダー取引に対する金融庁の処分が裁判所によって取り消される例が相次いでいるという記事。
「上場企業の公募増資時にインサイダー取引をしたとして2013〜14年にかけて金融庁から課徴金納付命令を受けた運用会社などについて、処分を取り消す判決が相次いでいる。処分された11件のうち3件が裁判所で取り消された。訴訟で浮上したのは「証拠固めの精緻さ」の重要性だった。」
「19年に入り、運用会社が起こした訴訟で処分が取り消される事例が続いている。
今年5月には10年に日本板硝子が実施した公募増資を巡るインサイダー取引で、金融庁から804万円の課徴金納付命令を受けたシンガポールの運用会社への処分が東京地裁で取り消され、その後、確定した。
運用会社側に情報を伝達したとされたJPモルガン証券の社員について「市場の状況分析などによる推測から公募増資の認識を得た可能性は否定できず、重要事実を知っていたとは認められない」とした。インサイダー取引では重要事実をもとに株取引を行った場合に処分される。日本板硝子の件では証券会社側の情報が重要事実にあたらず、インサイダー取引ではないと判断された。
8月には10年の国際石油開発帝石の公募増資を巡るインサイダー取引で54万円の課徴金納付命令を受けた運用会社に対する処分が取り消された。野村証券の社員が運用会社に重要事実を伝えたとされていたが、東京地裁は「重要事実の伝達を認めることはできない」とした。この件は、国側が控訴している。」
裁判所の判断が妥当なものかどうかは専門家でないのでわかりませんが、11件中3件というのはかなり高い無罪比率です。残りの8件も、処分を受けた方は納得していないけれども、金融庁に今後も監督される立場だからということで、やむなく認めたようなケースがあるのかもしれません。
日本板硝子(株)の契約締結交渉先の社員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の取消しについて(令和元年6月14日)(金融庁)
日本板硝子株式会社の契約締結交渉先の社員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の決定について(平成26年12月26日)(金融庁)
監査法人が処分取消しを求めて裁判を起こした例もありますが、その後どうなったのでしょうか。
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