国土交通省が、平成21年1月1日時点の公示地価を発表したという記事。
「商業地、住宅地の全国平均はともに3年ぶりに下落に転じ、前年からの下落率は商業地が4・7%(前年はプラス3・8%)、住宅地が3・2%(同プラス1・3%)だった。
全国2万7863の調査地点のうち、下落が約97%を占めた。」
この程度の地価下落で、不動産会社がバタバタとつぶれるものなのでしょうか。
下落に転じた公示地価、不動産株の戻りに慎重な声(ロイター)
こちらの記事では、あるアナリストが少しこわいことを言っています。
「大和総研・不動産担当アナリストの中川雅人氏は「この先1年ぐらい、地価は下値模索となることが考えられる」と話す。中川氏は「ここ1年ほど、土地取引はほとんど止まった状態だったため、今回発表された数値は株価にたとえると気配値」とした上で「実際に取引されるようになれば、価格はさらに下がる。金融面など現実の厳しさが実感されるのは、ここからになるのではないか」と分析する。」
最近、金融商品の時価をどのようにして決定するか(あくまで市場での取引価格を優先するのか、会社が勝手に見積もった数値に基づく理論値でよいのかなど)が議論になっています。
他方、不動産の評価では、取引事例は考慮すべき事項のひとつに過ぎず、最終的にすべてが鑑定士による判断次第(もちろん、確立された鑑定理論に基づいた判断のはずですが)であり、相当幅があるものだと思います。特に、取引がほとんど止まった状態だとすると、過去の景気のよい時期の取引価格に大幅な調整を加えることになるので、さらにブレが生じそうです。
そうした大きな幅の中で国交省が調整を加えているということはないのでしょうか。
2010年3月期から賃貸等不動産(国際会計基準では投資不動産)の時価開示が始まるということもあり、気になるところです。(もっとも実務上は、専門家の作業に依拠し、会計士は専門家の利用として手続を行うだけなので、心配してもしょうがないのですが・・・。)
平成21年地価公示(国土交通省のサイトより)
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