オリンパスが、長期借入金の財務制限条項に抵触したことを公表したという記事。ただし、最近抵触したのではなく、以前から抵触しており、開示がもれていたようです。
「オリンパスは9日、過去の損失計上先送り問題を受けて、総額3200億円の長期借入金がコベナンツ(制限条項)に抵触したと発表した。取引金融機関による資金回収を避けるため、融資継続に向けて協議を進めているという。
オリンパスが関東財務局に提出した訂正四半期報告書で明らかになった。具体的には、財務諸表の虚偽報告などで、条項に抵触した。通常、抵触した場合、金融機関に全額返済などの権利が発生する。」
EDINETで調べてみると、連結財務諸表において以下のような注記が追加されています(2012年3月期訂正有価証券報告書(8月9日提出)より)。
「長期借入金契約に関する表明及び保証条項と確約条項への抵触
取引金融機関からの融資のうち、一部(長期借入金320,000百万円)については、平成24年3月期の第2四半期決算に係る四半期報告書について金融商品取引法上の提出期限(第2四半期経過後45日以内)を徒過した事実に加え、上記「2.今後の状況」の損失計上先送りによる財務諸表等の虚偽表示が、表明及び保証条項と確約条項に抵触しています。
現在、期限の利益喪失に関わる条項を適用することなく、当該融資を継続していただくよう取引金融機関との協議を進めており、現時点においては、今後も融資継続について引き続き支援してくださると考えています。」
財務諸表の注記のなかにはそれほど重要でないものもありますが、これは非常に重要な情報だと思います。注記とはいえ、厳しい見方をすれば、重要な虚偽表示といえます。
本当に今になってわかったことなのでしょうか。それとも、あえて隠していたのでしょうか。
ちなみに、監査報告書も差し替えられています。
(訂正報告書で追加されたのは追加情報の注記です(経理の状況以外ではリスク情報の訂正もある)。会社や監査人は、財規の追加情報の注記に関する規定を非常に狭く解釈したのかもしれません。
「財規第八条の五 この規則において特に定める注記のほか、利害関係人が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する適正な判断を行うために必要と認められる事項があるときは、当該事項を注記しなければならない。」)
有価証券報告書の訂正報告書の提出に関するお知らせ(オリンパス)(PDFファイル)
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事