オウケイウェイヴ(名証ネクスト)が巻き込まれた巨額投資詐欺(ポンジスキーム)事件のかなり詳しい記事。関係者実名入りです。
「Raging Bull合同会社」(RB社)という会社が疑惑の舞台です。
「RB社の代表社員であるインド人のスニール・ジー・サドワニ(Sunil Gulrbrai Sadhwani)氏は、債務整理を山中眞人弁護士(狛・小野グローカル法律事務所)に一任し、事実上倒産した。判明している債権者(投資家)には4月13日付で受任通知が送られた。」
RB社の投資スキームというのは、ロックアップ期間中のIPO株をSBI証券を通じて入手し、高値でSBIに売り戻すというものだったそうですが、完全にねつ造だったそうです(SBIの経営陣と名刺交換をしたことがある程度の関係しかなかった)。
「RB社は最終的には資金繰りに行き詰まり、サドワニ氏は今年3月中旬に「月末の配当ができそうもない」と、X氏にスポンサー探しを依頼してきた。その際も「SMBC日興証券の株価操縦事件をSBI証券も気にしている。大口の資金移動は待ったがかかっている」などとごまかそうとしたが、X氏が相談に乗っているうちにサドワニ氏が「もはや隠し切れない」とポンジ・スキームだったことを自白した。3月29日のことだった。」
最大の被害者であるオウケイウェイヴの対応はあやしいものだったそうです。4月11日には取締役CFOに弁護士から連絡があったのに、適時開示は4月19日にずれ込んでいます。弁護士からの正式の通知も、なるべく遅らせるような依頼をしていました(メールではなく郵送するよう依頼)。
「法的整理(破産手続開始申立)を受任した山中弁護士は、すでに多くの投資家から問い合せがきているため、4月10日頃には投資家各位に、ある程度の状況説明を記載した受任通知を送る必要があると考えていたという。ところが、サドワニ氏との打ち合せのなかで「最大債権者のオウケイウェイヴは通知文を会社に送ってほしくないと言っている」と聞かされた。
不思議に感じた山中弁護士は、4月11日にオウケイウェイヴの取締役CFOである野崎正徳氏に電子メールを送ったところ、すぐに返信があり、同日中に電話で話をした。その際、同氏は「上場会社なので適時開示の準備があるため、なるべく遅く受け取りたい」などと話したという。そして野崎氏は郵送で書面を送るように山中弁護士に依頼した。
山中弁護士は4月13日に大半の投資家にメールで受任通知を送信した。加えて、メールアドレスが分からない投資家とオウケイウェイヴにも書面をレターパックで投函した。遅くとも15日にはレターパックがオウケイウェイヴに到着するはずであった。
しかし、オウケイウェイヴが「債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ」を適時開示したのはそれから4日後となる4月19日の17時30分。オウケイウェイヴは元本34億円、確約されていた利益15億円の合計49億円が焦げ付いたと明かしつつ、この時点では債務者であるRB社の社名を開示しなかった。
さらに奇妙なことに、債務者代理人から受任通知を受領したのは「4月18日」と記載した。山中弁護士が郵便追跡サービスで調べたところ、4月15日は平日(金曜)にもかかわらず、「お届け先休日等のため保管」という理由で配達されなかったという。
当然ながら野崎氏は4月11日の時点で山中弁護士との電話で、RB社が実際にはIPO投資を行っておらず、破産の準備に入ったことも知らされていた。メールを郵送に変更し、適時開示の準備も整えていたはずが、週末をまたぐかたちで受け取りが一段と遅くなり、リリースはさらに配達の翌日夕方までずれ込んだことになる。公益の観点から、山中弁護士はこの事実を名古屋証券取引所に通報したという。」
意図的かどうかはわかりませんが、発覚直前には、業績予想を上方修正していました。
「オウケイウェイヴはよりによって、サドワニ氏がすべてを自白した3月29日の翌日となる3月30日に「当期純利益は第3四半期(注・2022年1-3月期)に発生した資金運用による特別利益のため黒字予想となる見込み」と業績予想を上方修正していた。」
この問題には、オウケイウェイヴの社外取締役である廣瀬光伸氏が深く関与している疑惑があるそうです。
「RB社が昨年3月に廣瀬氏の個人会社と結んだ「業務委託契約書」も入手したところ、廣瀬氏はRB社に投資家を紹介し、RB社は紹介を受けた投資家から生じた手数料の67%相当額を廣瀬氏に払うとある。さらにRB社から廣瀬氏の個人会社への支払通知書には7億円余り支払うと記されている。RB社への投資の大半は、オウケイウェイヴを含め廣瀬氏が紹介した投資家の分だとの情報もある。」
「RB社から廣瀬氏周辺には15億円余りの資金が流出しているとして、RB社は破産申立てに先立ち4月28日、投資家救済のため東京地裁に不当利得返還請求訴訟を起こしている。」
もう1人の社外取締役も大物ですが...
「問題はまだある。オウケイウェイヴの社外取締役に20年9月から就いている大森泰人氏は財務省から金融庁を経て、市場の番人である証券取引等監視委員会で事務局長まで務めた人物だ。オウケイウェイヴの大口投資先であるRB社が投資運用業の登録がないことはすぐにわかったはずで、これを放置してきた責任は免れない。また、オウケイウェイヴ社が初めてRB社に投資した際の取締役会で、大森氏ではない取締役1名と監査役1名は反対をしている。なぜ反対を押し切ってまで投資を行ったのか謎が多い。」
この記事が指摘している疑惑のとおりだとすると、オウケイウェイヴは、ひとりの社外取締役に食い物にされ、もう1人の金融庁出身の社外取締役も、モニタリング機能を果たしていなかった、金庫番であるCFOの行動もあやしいということになります。
会社は調査委員会を設けて調べているそうですが、徹底的に調査してほしいものです。
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