会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

岡山大病院で不適切会計3億円 ルール未整備のまま民間研究費の剰余金を一般経費充当 14年度決算「手続き上のミス」(Yahooより)

岡山大病院で不適切会計3億円 ルール未整備のまま民間研究費の剰余金を一般経費充当 14年度決算「手続き上のミス」(山陽新聞配信)

国立大学である岡山大学の学長(74歳)が公金を私的流用していたという報道を先日取り上げましたが、その報道で指摘されていた不正会計について、大学が正式に発表したようです。

「岡山大(槇野博史学長)は2日、同大病院の2014年度決算で、国立大学法人会計基準に違反する不適切な会計処理があったと発表した。同年度の赤字額は大幅に過少計上されたが、「意図的な経理不正ではなく、学内手続き上のミスだった」と説明している。

同大によると、製薬会社などから治験のために振り込まれた受託研究費の剰余金約3億円検査試薬代に充てたため、診療経費の支出が減った。実際は約7億円に上っていた赤字額が約4億円に圧縮されたという。

同会計基準などによると、民間からの受託研究費は学内規定や相手先との契約で定めていれば、一般経費に充てることができる。ただ、同大はそうした学内規定や受託研究終了後の剰余金取り扱いのルールが未整備だった。昨年3月に匿名の通報があり、学内の調査委員会が調べた。当時の会計担当者を処分した。」

不正会計が行われたのは、現在の学長が大学病院の病院長だった時期です。いつの間にか赤字が3億円も減ったのに責任者が知らないはずはなく、末端の担当者に責任を押しつけたようにしか見えません。

また、昨年3月に通報があったのに、いままで発表がなかったというのは、国の税金が入っている組織なのに、透明性に欠けています。会計監査人(あずさ監査法人)は、この通報を検討した上で監査意見を出したのでしょうか。

財務諸表の訂正も行われていないようです。

別の大きな不正も明らかになっています。

「岡山大病院を巡っては、新型コロナウイルス患者向けの病床を確保した病院に支給される国の交付金について計19億数千万円を過大に受給した可能性が明らかになっており、県とともに返還手続きを進めている。」

これも担当者の処分でお茶を濁すのでしょう。

大学のプレスリリース。具体的にどのような内容の不正なのか、影響額はどれほどだったのかなどについては、全くふれていません。ひどいものです。

「平成27年3月期における会計処理」に対する本学の対応(国立大学法人岡山大学)(PDFファイル)

監事による監査報告書及びあずさ監査法人による第18期監査結果概要報告書に記載されている平成27年3月期における会計処理について、本学において以下の対応を行いました。」

「監事による監査報告書」の方は開示されていますが、「あずさ監査法人による第18期監査結果概要報告書」の方は開示されておらず、中身がわかりません。わざとかくしているのでしょう。

「令和4年6月から令和4年8月にかけて岡山大学学⻑選考・監察会議において審議し、これを踏まえ、岡山大学内部統制委員会の下に「治験等受託研究経費の適切な使用等に関する検討会」及び「懲戒等審査委員会」を設置しました。それぞれの会議で慎重な調査等を行った結果、治験等受託研究費において国立大学法人会計基準等の違反があったことを確認するとともに、再発防止策及び関係者の処分の必要性等について審議しました。その結果を踏まえ、令和5年1月 11 日開催の内部統制委員会において、本件事案に対する対応について以下のように決定しました。

この結果について、令和5年1月 25 日開催の学⻑選考・監察会議に報告を行い、本学の対応について審議・承認されました。

1.本件事案発生原因及び再発防止策について

治験等受託研究費の適切な使用等に関する検討会において、本件事案発生の原因及び再発防止策について検討しました。
本件事案発生の原因は、治験等の受託研究終了後に生じた残額の取扱いに関するルールが明確に定められていなかったこと、治験経費を含む⺠間からの受託研究費の直接経費の使途等は公的研究費とは異なり、学内規定及び相手方との契約によって決定するものであるが、本学ではそれに対応する規定が存在していなかったことなどに原因があったことが明らかになりました。

これらの原因を踏まえた改善策として、治験管理経費の管理方法等に係るルールを新たに定めるとともに、学内の規程類を改正することで、治験経費を含む⺠間からの研究経費に係る全学的なルールの明確化を行います。また、これらのルールを学内に周知・徹底することで再発防止に取り組みます。

2.本事案の関係者に対する処分について

本事案の関係者に対する処分について懲戒等審査委員会、内部統制委員会で審議を行い、上記で検証されたような規定等の不備等による内部環境的な要因も考慮の上、本事案の関係者について必要な処分を行いました。」

処分の内容も隠していますが、上記Yahoo記事によれば、処分されたのは会計担当者だけです。

監事の監査報告書をみると、不正の内容は一応わかります。

監査の監査報告書(令和 4年 6月 3日)(PDFファイル)

監事が2022年6月時点で不正会計だと明言しているのに、対外発表が半年以上たった後というのはどういうことなのでしょう。2021年3月の通報の時点から計算すると2年近くになります。

独立監査人の監査報告書(令和4年6月2日)(PDFファイル)←無限定適正意見です。

槇野学長の岡山大学病院長時代の公費の不正な私的流用、粉飾決算(2021.08.22)(岡山大学を正常化する会)(再掲)

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