カラオケ大手の第一興商の子会社の常務が、コピー機納入の架空リース契約を結び、それで得た資金を私的に流用していたという記事。「架空契約は6年ほど前から続けられ、少なくとも約400件、総額7億円以上にのぼる」そうです。
子会社の取締役による不正行為について(会社のプレスリリース)
「同元常務取締役は、同子会社の印章等を盗用し、外部の事務機器販売会社の代表者と共謀して、同子会社を借手とする架空のファイナンスリース契約を締結するなどし、両名はリース会社数社から不正に販売代金を受け取り私的に流用していたものであります。なお、当該ファイナンスリース残高は、約7億円であることが判明しております。」
いわゆる「空リース」による不正です。リース物件の納入がないのに、物件の売り主(共謀相手である事務機器販売会社)にリース会社から物件の代金が支払われ、それを着服したのでしょう。第一興商子会社は、存在しないリース物件について、リース料を払い続けていたわけです。
リース会社に対しては、リース物件を受け取ったことを証明する書類を提出しているので、リース会社も共謀しているのでない限り、リース料の支払を止めたり、返還を求めたりすることはできません。
会計的には、リース会計見直し後であれば、架空のリース資産とリース債務を計上していたという不正になります。リース会社に対する債務は発生しているので、リース債務の方は架空ではないともいえますが、科目はリース債務ではないでしょう。見直し前であっても、ファイナンスリースの注記が間違っていたことになるとともに、賃借料でない不正な支出を営業費用である賃借料のように表示していたという不正になります。もちろん、リース会社に対する債務が簿外になっていること自体も虚偽表示です。例外処理で簿外処理が認められているのは、賃貸借としての実態がある契約だけだからです。
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