企業会計基準委員会のサイトに、企業結合会計基準や連結会計基準改正の際に募集したコメントとそれらへの対応が掲載されています。
多くのコメントの中で、中心的な論点ではなさそうですが、株主資本等変動計算書に関する以下のコメントが気になりました。当サイトでも同様の考え方を述べたことがあります。
「今回の改正で、当期純利益と包括利益についての考えが整合的になったため、連結株主資本等変動計算書において、当期純利益とその他の包括利益を表示し、これらに関する非支配株主持分の金額を記載することができるようにすることが望ましいと考えている。
連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結貸借対照表との関係が理解しやすいこと、国際的な会計基準の取扱いを踏まえた表示ができることから望ましいと考える。」
これに対する企業会計基準委員会の回答は、「現行の取扱いを踏襲」といっているだけで、なぜ現行踏襲なのかについてはふれていません。不十分な回答だと思われます。
「今回の改正においても、現行の株主資本等変動計算書会計基準第21 項の考え方を踏まえて、株主資本以外の各項目について、その当期変動額は純額で表示する現行の取扱いを踏襲している。」
包括利益という考え方が導入され、また今回の改正で非支配株主持分の扱いが変わり、
純資産の変動
=資本取引による変動+包括利益
=資本取引による変動+当期純利益(非支配株主帰属分を含む)+その他包括利益
という整理がなされたのですから、それを株主資本等変動計算書にも反映させるのが当然だと思われるのですが・・・。
(改正後の様式(基本的には従来と同じですが「当期純利益」の項目名が変わっています))
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/9f/9a078a0aa39a6268448a1cf16ad797c8.png)
(企業会計基準適用指針第9号より)(クリックで拡大)
包括利益はもちろんのこと、当期純利益すら、表示されない形式となっています。