(株)サカイホールディングスにおける有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、サカイホールディングスに対する課徴金納付命令を、2024年5月15日付で決定しました。
課徴金の額は、3000万円です。
「被審人の連結子会社は、売上の前倒しによる売掛金の過大計上及び売上の架空計上の不適正な会計処理を行った」とされています。
詳しくは、課徴金納付命令勧告時の当サイト記事をご覧ください。
ところで、証券取引等監視委員会による勧告の際には、以下のような説明図が示されていました(再掲)。
この事案では、保険代理店手数料が問題になっていましたが、この図によると「本来、保険会社から保険料に応じて実際に支払われた保険募集代理店手数料を売上として計上すべき」なのだそうです。つまり、現金主義(保険会社から手数料が支払われた時点)で収益を認識すべきだという見解のようですが、それは正しいのでしょうか。現行の会計基準で、現金主義が原則という基準はないはずです(実務上の簡便処理としてはありうるが)。保険代理店として、手数料に見合うサービス提供の義務を果たしていれば、手数料入金前であっても、収益計上すべきなのではないでしょうか。
サカイホールディングスの調査報告書では、売上を見積り計上する会計方針自体は問題としておらず、見積りの際に担当者による不正が行われたことが問題として指摘されていました。
監視委や金融庁が会社の報告書の見解を全面的に取り入れる必要はないにしても、「不適正」の中身が違うわけですから、もっと丁寧に説明すべきでしょう。ほかの保険代理店の会計処理にも影響しないのでしょうか。