JFEホールディングスが2019年3月期にもIFRSに移行するという記事。
「出資するベトナムの製鉄所が17年3月期に稼働し、メキシコの鋼板工場の建設も決めるなど、海外の事業拡大に力を入れている。財務情報を比較しやすい国際ルールにして海外投資家を株主に取り込む。」
減価償却方法も変更したそうです。
「製鉄所の設備投資にかかる費用を減価償却する方法について、JFEは18年3月期から海外で一般的な定額法に変更。併せてIFRSへの移行準備を始めた。」
第1四半期の決算短信を見ると、この会計方針変更について、以下のように注記しています。
「 (有形固定資産の減価償却方法の変更)
従来、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却の方法については、主として定率法によっておりましたが、当第1四半期連結会計期間より主として定額法によっております。
鉄鋼事業を取り巻く経営環境は、国内においては、ここ数年は東京オリンピック・パラリンピック関連等の需要が見込まれますが、将来的には少子高齢化に伴う内需減少等により、鋼材需要の大幅な増加は見込めない状況であり、また、全世界的にも中国を中心とした鉄鋼過剰生産が継続しており、大変厳しい状況が続いております。
こうした厳しい事業環境を踏まえ、当社グループの鉄鋼事業の主力生産拠点であるJFEスチール㈱の国内製鉄所においては、粗鋼生産量の引き上げではなく、老朽更新を中心とした設備投資により製造基盤の更なる強化を行い、現状の生産能力を最大限活用して、安定した生産量の確保およびコスト削減を推進してきました。
具体的には、前連結会計年度までに、コークス炉の更新等、中長期的な競争力に大きな影響を与える製鉄所の上工程を中心とした設備更新を進め、製鉄所の安定操業に概ね目途が立ちました。
今後も製造基盤整備を継続的に実施して、更なるコスト削減と安定供給体制を実現するとともに高級鋼へのプロダクトミックスシフトを推進し、競争力の強化を図ってまいります。
これらの施策により、今後設備は安定的に稼働することが見込まれることから、費用の配分方法として定率法より定額法の方がより適切であると判断いたしました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の営業利益は4,232百万円、経常利益および税金等調整前四半期純利益はそれぞれ4,231百万円増加しております。」
「競争力の強化を図ってまいります」という決意表明みたいな記述が、変更理由として必要なのかなあと思いますが、たぶん「今後設備は安定的に稼働することが見込まれる」というところが重要なのでしょう。
他方「鉄鋼過剰生産が継続しており、大変厳しい状況が続いております」というのは、むしろ、費用を早い時期に配分しなければならない(定率法を継続する)理由であり、矛盾しているように思われます。
いずれにしても、こういうとってつけたような理由でも、IFRSへの移行という背景があれば、容認されてしまうのでしょう。
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