会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

中国「空飛ぶクルマ」の開発企業に粉飾疑惑浮上(東洋経済より)

中国「空飛ぶクルマ」の開発企業に粉飾疑惑浮上
「ショートセラー」の調査レポートで株価が暴落


中国の億航智能(イーハン)という会社の粉飾疑惑を取り上げた記事。

アメリカのカラ売り会社が指摘したそうです。

「人を乗せて飛行する「空飛ぶクルマ」の開発・製造を手がける中国の億航智能(イーハン)に、売り上げ水増しなどの粉飾疑惑が浮上した。

2月16日、アメリカの投資会社ウルフパック・リサーチが33ページに及ぶ調査レポートを公表。イーハンが大口顧客と虚偽の契約を結び、見かけ上の売り上げを膨らませていると告発したのだ。」

この大口顧客の設立9日後に、契約が締結されたのだそうです。

「問題の大口顧客である上海鵾翔智能科技は、中国の法人登記情報によれば2019年1月21日に設立された。ところが、イーハンがアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した開示資料によれば、上海鵾翔智能科技がイーハンとの総額4億5000万元(約74億円)の購入契約にサインしたのは会社設立のわずか9日後だった。」

「さらに4カ月後、上海鵾翔智能科技は追加で3000万元(約5億円)の購入契約を結んでいる。しかし同社の登録資本金はわずか1000万元(約1億6400万円)にすぎず、「イーハンとの契約を履行できる資金力はない」とウルフパックは指摘する。

そのうえで、ウルフパックが注目したのがイーハンの売掛金の急増だ。決算報告書によれば、2020年3月末時点で830万元(約1億3600万円)だった売掛金が、半年後の同年9月末時点では6068万元(約9億9500万円)と7.3倍に膨れ上がった。

ウルフパックは、売掛金が急増した理由を虚偽の販売契約で売り上げを水増ししためと分析している。ウルフパックはさらに、イーハンの技術力や将来計画にも数多くの疑問を投げかけた。」

売掛金の絶対額は、あやしいとされる大口顧客との契約額(4億5000万元+3000万元)と比べると、極端に大きいわけではないように思われます。契約したけれども売上も計上されていない部分がかなりあるのでしょうか(それはそれであやしい)。

中国ドローン企業の株が暴落の背景 決算粉飾疑惑で(デイリー新潮)

日本にもこの中国企業からドローンを買った団体があるそうです。

「「イーハン社は2014年に設立され、19年にナスダックに上場したドローンメーカーですが、製造だけでなく、ドローンを使ったタクシーなども手掛けると謳っていました。最新型の『EHANG216』はすでに89台が売れたとされています。ところが、アメリカの空売りファンド『ウルフパック・リサーチ』の調査員が同社の工場に潜入したところ、平日なのに従業員がほとんどおらず、フロアには数台のドローンが放置してあるだけ生産している様子もなかったと、隠し撮り映像を公開したのです」(全国紙の北京特派員)

また、同社が取得したと主張しているテスト飛行の許可も、乗客を乗せるものではないことが判明。さらにはイーハン社がドローンを販売したとしている「シャンハイ・クンシャン」という会社は、販売契約の数日前に設立され、実体がないことも明らかに。ウルフパックは、架空の売り上げで決算を粉飾していると断じたのである。

となれば、イーハン社のドローンがまともに飛ぶのかも怪しくなってきたが、日本で実際に「EHANG216」を購入した団体がある。航空宇宙産業振興のため、岡山県倉敷市の地元企業などが設立した「MASC」だ。

MASCでは昨年、約3200万円を投じてイーハン社からドローンを購入したというが、事務局の担当者が言うには、

「有人ドローンの研究のためにイーハン社から1台買ったのですが、コロナ禍で中国から技術者が来られないため、一度も飛行していません。ドローンは今も倉庫に置いたままです」」

日本の団体の話のとおりだとすれば、架空でない売上も1件はあったということになります。本当に飛ぶのかどうかは心配ですが...。

その他、中国関連の不正や無謀投資(詐欺?)の記事。

不正会計の中国・新興カフェ、米国で破産申請
倒産手続き一本化へ、集団訴訟の中断もくろむ
(東洋経済)

「今回、ラッキンが連邦破産法15条の適用を申請した狙いは、アメリカの株主が提起した集団訴訟の一時中断を請願し、倒産手続きを会社の登記地である英領ケイマン諸島の法律に基づく処理に一本化することにある。

背景には事業実体は中国、登記地はケイマン、上場先はアメリカという、ラッキンの複雑な経営構造がある。」

中国のAI音声認識ユニコーン、上場申請を撤回
市場シェアの「捏造疑惑」を同業ライバルが指摘
(東洋経済)

「ユニサウンドはIPOの目論見書に、同社のAI音声認識サービスの市場シェアが「生活分野や医療分野で首位」であるとする外部の調査会社のデータを引用。具体的には白物家電向けのシェアが70%、音声カルテ記録システムが70%、カルテの品質管理システムが約30%だという。

ところが、この記述が思わぬ物議を醸した。2020年12月11日、ある投資家が深圳証券取引所の上場企業情報アプリ「互動易」を使い、ライバルのアイフライテックに一連の質問を送信した。

すると同社は、ユニサウンドの音声カルテ記録システムのシェアが70%というのは「事実とかけ離れて」おり、白物家電向けのシェア70%も「完全に事実に反する」と回答したのだ。」

中国半導体「重要プロジェクト」、全社員を解雇
「武漢弘芯」、工場が未完成のまま事実上頓挫
(東洋経済)

「武漢市政府は過去の宣伝で、武漢弘芯を2017年および2018年の同市最大の投資プロジェクトだとアピールしていた。また、湖北省政府も2018年と2019年の重要建設プロジェクトとして位置づけていた。

しかし半導体業界では、その計画に当初から疑念を抱く向きが少なくなかった。というのも、HSMCの2人の創業者は業界内ではまったく無名の人物で、バックグラウンドが謎に包まれていたからだ。14nmと7nmのプロセス技術をどこから導入し、エンジニアのチームをどう確保するのかも不透明だった。

それから3年余り。武漢弘芯プロジェクトは第1期工事の途中で資金ショートに陥り、工場が未完成のまま事実上頓挫した(訳注:詳しい経緯は『中国半導体「重要プロジェクト」が頓挫の危機』を参照)。」

半導体製造「弘芯」の巨大詐欺が中国で話題に(ZDNet)

「中国・武漢で「弘芯」(武漢弘芯半導体:HSMC)という企業の巨大半導体工場の建設(弘芯プロジェクト)が停止となるニュースがあった。日本の一部メディアでは資金不足が原因と報じられたが、調べてみるとそうではなく、とんでもない話だったので紹介したい。一言でいえば、何の知識もない人の口八丁で巨大半導体工場の建設まで進んでしまったのである。」

詐欺まがいの不正が横行する中国「私募ファンド」の実態(エコノミスト)

「当局が監督強化に動いた背景には、PEとVCが銀行の迂回(うかい)融資(いわゆるシャドーバンキング)に利用されたほか、詐欺まがいの事件がここ数年相次いだことがある。

例えば、金融や不動産などの複合企業体である上海阜興実業集団(阜興グループ)の事件では、グループ内の私募ファンドが、多くは実態のない関連会社の株式などに投資する形で、投資家から365億元(約5900億円)をだまし取っていた。」
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