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新日本監査法人「見逃しの遺伝子」(FACTAより)

新日本監査法人「見逃しの遺伝子」(記事冒頭のみ)

9月7日の東芝決算発表の前に書かれた記事ですが、東芝粉飾事件に関連して新日本監査法人をターゲットにしたコラム記事。

こちらのブログに全文が掲載されています。

新日本監査法人「見逃しの遺伝子」

「そんな(会計士協会のパーティーで歓談が行われている)中で、ひときわ厳しい表情を浮かべる人物がいた。英(はなぶさ)公一氏。渦中の新日本監査法人の理事長である。話しかける人もまばらで、時折、眉間にしわを寄せ、遠くに視線を投げて目を泳がせていた。」

「英氏の表情が厳しいのも当然だった。東芝だけでなく、このところの会計不祥事では必ずと言ってよいほど新日本の名前が挙がっていた。日本航空やIHI、オリンパス。2011年に巨額の損失隠しが発覚したオリンパスでは、金融庁から業務改善命令を受けている。

・・・

新日本にとって衝撃的だったのは、最も優良な顧客と信じてきた東芝で問題が発覚したこと。前身の太田昭和監査法人時代からの主要顧客だ。しかも監査報告書で一番上に名前を記載している濱尾宏氏は、新日本監査法人の監査品質の責任者である「品質管理本部長」を務めている。品質管理のトップがまったく不正を見抜けないという失態を演じたのだ。新日本の監査のレベルそのものが問われることとなっているのだ。」

大手監査法人は、監査やアドバイザリー業務を実際に顧客に提供する部門と、品質管理など監査法人全体に関わる仕事を行う部門に分かれているものと思われます。法人にもよるのでしょうが、後者の各部門のトップは、前者の現業部門の中の有力なチームが持ち回りで幹部を出して片手間に(兼務で)やらせているケースもあるのではないでしょうか。「品質管理本部長」だからといって、一般的なパートナーと比べて、監査品質管理について特別に訓練を受けたり経験を積んだりといういうことはないのかもしれません。もしそうだとしたら、肩書ゆえに責められるというのは、少し気の毒な感じもします。(そういう人材配置でいいのか、せめて、大手監査法人の場合は専任でやるべきではないのかという問題は当然ありますが)

記事では、東芝の減価償却方法変更(定率法→定額法)についてもふれています。しかし、これは、IFRSへの移行など、別の理由もあるでしょうから、監査人として認めてもおかしくはないと思われます。ただし、一見正当な理由による変更だとしても、他の会計処理や見積りの変更(注記されないようなものも含む)と合わせて見たときに、利益操作的な偏向があるのではないかということは、当然懐疑心をもって検討すべきでしょう。

「しかし、なぜこうも新日本の監査先で不祥事が相次ぐのか。「粉飾見逃しの遺伝子」のようなものが脈々と流れているように見える。破綻する前の中央青山もそうだった。ヤオハン・ジャパン、山一証券、足利銀行、カネボウと、「また中央青山か」と言われたものだ。担当会計士と監査先企業の「癒着」とは言わないまでも、「馴れ合い」や「惰性」が伝統的に生じる雰囲気を持っていたのだろう。

中央青山が破綻した後、所属していた会計士は1千人近く新日本に移籍している。あたかもそれによって、負の遺伝子が新日本に引き継がれたように見えるのは偶然だろうか。」

東芝は昔からの新日本のクライアントですから、中央青山の遺伝子というよりは、そもそも組織の体質が似ているから、移籍が多かったのかもしれません。

「実は、東芝問題が発覚する以前から、金融庁は継続的に新日本の監査について検査を行っていた。会計士を名指ししたうえで、監査部門から外すように求めるなど、かつての金融機関への行政指導を彷彿とさせるような「箸の上げ下ろし」にまで口を出す指導が行われていた。」

「会計士を名指ししたうえで、監査部門から外すように求める」権限が金融庁にあるとは知りませんでした。
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