会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

廃炉の可能性 日本原電、破綻に現実味(産経より)

廃炉の可能性 日本原電、破綻に現実味

敦賀原発直下の断層が活断層である疑いが強まったことによる日本原子力発電の経営への影響についてふれた記事。

「保有原発のうち、東海第2は東海村の村上達也村長が廃炉を求めるなど地元の反発が激しく、再稼働の見通しは立たない。敦賀1、2号機の廃炉が決まれば、実質的に動かせる原発が「ゼロ」になる。

 電力会社が保有原発の廃炉を決めれば、それまで資産だった原発や核燃料は一転して価値がなくなり、資産の目減り分を損失として処理する必要がある。

 経済産業省の試算では、原電が今年度中に全3基を廃炉にした場合、資産の目減りや廃炉費用で2559億円の損失が出る。23年度末の純資産1626億円を差し引いても、933億円の債務超過だ。・・・経営破綻が現実味を帯びる。」

2012年3月期の有価証券報告書(PDFファイル)をみると、原発に関連していそうな資産は

原子力発電設備 1930億円
建設仮勘定 1700億円
核燃料 1720億円

の合計5350億円あります(たぶんほかにもあるのでしょう)。

その他繰延税金資産も700億円以上あります。

負債側では

資産除去債務 2070億円

が計上されていますが、実際に廃炉となれば、これで済むかどうかはわかりません。

他方、

使用済燃料再処理等引当金 2070億円

が計上されており、これはもしかすると利益になるのかもしれません。

このように考えると、2559億円の損失で済むかどうかはわかりません。上場会社ではないので、四半期決算は公表していませんが、来年の3月期決算では、監査人(大手の監査法人です)は重大な判断が求められることになるでしょう。

同社に出資している電力会社や原子力関連のメーカー、融資している金融機関などの決算にも影響します。

もっとも、予想どおり総選挙で自民党が圧勝すれば、活断層はなかったことになるかもしれませんが・・・。

敦賀原発:新たなずれ クロ判定(毎日)

敦賀原発:2号機の廃炉不可避 直下「活断層の可能性」(毎日)

敦賀原発:日本原電、経営危機の恐れ(毎日)

敦賀原発、廃炉の公算大 規制委「活断層の可能性高い」(朝日)
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