会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

上場620社が雇用調整助成金を受給 20年度、6社に1社(日経より)

上場620社が雇用調整助成金を受給 20年度、6社に1社(記事冒頭のみ)

約62社の上場企業が雇用調整助成金を受給していたという記事。2020年4月期から2021年3月期までの有報を調べた結果だそうです。

「上場企業の6社に1社が2020年度に雇用調整助成金を受け取っていたことが、日本経済新聞の集計で分かった。新型コロナウイルス禍の打撃が大きい空運や鉄道など非製造業を中心とした約620社で、受給総額は4500億円を超えた。コロナ禍特例による増額措置が続いているうちに、収益を回復させられるかが課題となる。」

「コロナ禍による特例措置で1人あたり上限が1日1万5000円に拡充され、12月末まで延長される。厚生労働省によると20年度の支給決定額は296万件で3兆1555億円だった。」

損益への影響は...

「受給総額は約4530億円と雇調金全体の1割強を占める。」

「622社の売上高は前の期比17%減の82兆円、最終損益は合計で2兆円の赤字(前の期は2兆6000億円の黒字)で、雇調金収入がなければさらに赤字が拡大していた。」

記事の表によると、受給額が多いのは、ANAHD、オリエンタルランド、近鉄グループHD、日本応空、西武HD、エイチ・アイ・エス、KNT-CTHDなどです。KNT-CTHDは近鉄グループの会社なので、金額はダブって集計されているかもしれません(大勢には影響なさそうですが)。

また、「雇調金全体の1割強」とのことですが、各社の決算期は3月だけでなく、さまざまであり、また計上のタイミングも厚労省の集計と一致しているとは限らないので、分母分子が正確には対応しておらず、おおざっぱな率です。

失業率への影響は...

「雇用調整助成金の支給決定件数は2021年8月時点で418万件となった。失業率の悪化を防ぐ目的からは、コロナ禍で一定の効果があったとの指摘は多い。例えば20年4月~10月の完全失業率は平均2.9%だったが、助成金がなければ5.5%程度という高い水準になっていたと労働経済白書は分析する。」

今後どうなるのかですが、需要が回復して、従業員を休ませて手当を支払うことがなくなれば、助成金は不要になります(そもそももらえない)。需要が回復しない場合でも、仕事が減った分、従業員を解雇して人件費を減らせば、助成金は不要になります(この場合も当然受給できない)が、多くの会社がそうすれば、失業率は上がるのでしょう。

当サイトの関連記事(新型コロナ特例の「雇用調整助成金」の支給決定額が4兆円を突破したという報道について)

その2(雇用保険料が大幅に引き上げられそうだという報道について)
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