会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

特別調査委員会による調査の進捗状況に関するお知らせ(サムティ)

特別調査委員会による調査の進捗状況に関するお知らせ(PDFファイル)

サムティ(東証プライム)のプレスリリース(2月27日)。

過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義を調べている、特別調査委員会の調査進捗状況を説明しています。

どのような疑義か...

「本件疑義は、当社代表取締役会長の森山茂が、本件取引先の了解の下、同社の印鑑を預かっていたほか、不動産取引について相談にのるなど懇意な関係にあったこと等から、当社による本件取引先への影響度を勘案して当社の子会社に該当するのではないかというものです。当社は、2022年11月期の決算手続において当社会計監査人と協議を行う中で、2022年12月21日に、本件疑義にかかる事実について調査を行うべきとの指摘を受けました。」

調査の進捗状況は...

「特別調査委員会の調査は、当社内外の関係者へのヒアリングや関係書類の精査・分析、フォレンジックなどの多岐にわたるものとなっており、相応の日数を要するため、調査報告書の提出は2023年3月上旬を予定しているとうかがっております。 」

問題の取引先との取引規模や、取引先自体の規模は...

「なお、直近5事業年度における、当社と本件取引先との間の取引に係る取引規模は以下のとおりです。
 第38期(2019年11月期) 約4,300百万円(売却)
 第37期(2018年11月期) 約2,930百万円(取得)
 第36期(2017年11月期) 約1,300百万円(売却)

また、上記特定取引先が関係する不動産売却に係る取引規模(合計)は以下のとおりです。
 第40期(2021年11月期) 約13,300百万円(売却) 」

これだけの情報では何ともいえず、調査結果を待つしかありませんが、たしかに、代表取締役会長を経由して、会社が当該取引先を支配しているとみることもできるのでしょう。特に、当該取引先が単なるダミー会社で、実質的には、会社がリスクを負いリターンを獲得するようなスキームとなっている場合(このケースでは不動産取引に関して)はそうでしょう。しかし、当該取引先は代表取締役が支配しているだけで、会社は支配していない、単なる関連当事者(代表取締役が支配している会社)とは考えられないのでしょうか。たとえば、ソフトバンクグループは孫社長が支配している会社との間で多額の取引を行っていますが、それらの会社は連結外としています(関連当事者取引として開示)。もし関連当事者取引だとして、万一、その取引によって、代表取締役側に何らかの不当な利益が流れていた場合には、背任行為であり、連結範囲の問題よりも重大な不正となります。関連当事者取引の開示もれという虚偽記載の問題も出てきます。

ちなみに、直近の四半期報告書を見ると、監査人は新日本です。

第41期(2022年11月期)有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出に関するお知らせ(2月28日)(PDFファイル)

「特別調査委員会は、本件疑義に関して、本件取引先が当社の子会社に該当するのではないか、及び本件取引先と当社との不動産取引が妥当であったかについて調査を行っております。また、本件取引先以外に、同様な関係の可能性がある特定取引先が関係する不動産売却についても同様の観点からの調査を行っております。

 本件進捗開示のとおり、特別調査委員会による調査が継続しているところ、当社としては、これらの疑義は、過年度の当社の財務諸表又は連結財務諸表に、重要な虚偽の表示が生じる可能性のある誤謬又は不正による重要な虚偽の表示の疑義に該当し得ると考えております。」

「当社は、法令に定める提出期限までに第41期(2022年11月期)の有価証券報告書を提出することができない見込みとなりましたので、本日付で提出期限の延長申請を関東財務局に提出することといたしました。」

その後の開示によれば、延長の承認は受けたようです。

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