会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

株式会社EduLabにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について(金融庁)

株式会社EduLabにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

金融庁の証券取引等監視委員会は、株式会社EduLab(東証グロース)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、課徴金納付命令発出の勧告を、2023年10月20日付で行いました。

継続開示書類に関して、連結子会社が「売上の過大計上及び事業損失引当金の不計上等の不適正な会計処理を行った」結果、「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券報告書及び四半期報告書を提出したとされています。

対象は、平成30年9月期有価証券報告書、令和2年6月第3四半期四半期報告書、令和2年9月期有価証券報告書です。

また、発行開示書類に関して、「連結子会社が行った売上の過大計上の不適正な会計処理により、過大な当期純利益等を計上した連結財務諸表を作成した」結果、「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券届出書(株式の募集)を、平成30年11月16日に提出し(調達額2,218百万円)、令和2年9月30日には、上記令和2年6月第3四半期四半期報告書を参照情報とする「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券届出書(株式の募集)を提出した(調達額5,655百万円)とされています。

勧告された課徴金の額は、2億3,705万5,000円です。

影響額(例として平成30年9月期)は...

純資産ベースで7億円弱の影響額です。

証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告について(PDFファイル)

虚偽記載の内容などを簡潔にまとめたものがなかなか見つからなかったのですが、東証から一応こういうのが出ています。

改善報告書の徴求、上場市場の変更(市場第一部からマザーズへの変更)及び上場契約違約金の徴求について:(株)EduLab(2022年1月)(東証)

「株式会社EduLab(以下「同社」という。)は、2021年8月2日、特別調査委員会の設置等について開示し、同年10月15日、同社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の中間報告書の受領と追加調査の継続について開示するとともに、過年度の決算内容の訂正を開示しました。これらにより、同社及び同社子会社では、取引先との共同事業において事業損失引当金が計上されていなかったこと、同社関連会社に対する売上が過大に計上されていたこと及び連結範囲の調整等が行われていたことが明らかになりました。その結果、同社は、2019年9月期から2020年9月期までの決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2019年9月期の親会社株主に帰属する当期純利益が4割以上、2020年9月期の同利益が6割以上減少することなどが判明しました。

また、同社は、同日に新規上場時の有価証券届出書及び過年度の有価証券報告書を訂正し、2016年9月期から2020年9月期までの訂正後の連結財務諸表について意見不表明の監査報告書等を受領した旨及び2021年9月期第3四半期の四半期連結財務諸表について結論不表明の四半期レビュー報告書を受領した旨を開示しました。これにより、同社は、同社株式の新規上場申請及び市場変更申請において、当取引所に提出する書類がすべて真実である旨の宣誓書を提出していたにもかかわらず、申請書類に虚偽の財務諸表を記載していたこと及び虚偽の決算情報をもとに公募増資を実施していたことなども判明しました。

さらに、同社は、2021年12月24日、新たに複数の取引の売上計上等に関し過年度の会計処理を再訂正する必要又はその可能性を認識し、特別調査委員会の調査範囲を拡大して調査を行うため、2021年9月期有価証券報告書を期限までに提出できない旨を開示し、同年12月28日、関東財務局に同有価証券報告書の提出期限を2022年2月28日までに延長する申請を行い、2022年1月4日、関東財務局の承認を受けました。

これらの背景として、本件では主に以下の点が認められました。
 ・同社グループでは、関係会社又は複数の業務提携先等との取引において、契約内容が取引実態と異なっていることや、契約書や納品書等の証憑類の日付が事実と異なっていることを問題視しないなど、全社的にコンプライアンス意識が希薄であったこと
 ・複数の業務提携先等との取引において、証憑類の信頼性に疑義が生じたことによって、同社の売上高の実在性や期間帰属の適切性に疑義が生じているなど、同社の内部統制に重要な不備が存在すること
 ・上述の疑義の拡大などを原因として、同社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査が繰り返し延長され、同社の会計監査人が監査意見を表明できない状態となっていること」

新規上場のときから虚偽の書類を出していたいうことで、ひどい話です。

ちなみに、同社の当時の会計監査人はあずさ監査法人だったようです(その後別の事務所に交代)。

教育関連会社が不適切会計で金融庁に勧告へ 証券取引等監視委(2023年10月20日)(NHK)

「「EduLab」をめぐっては、監査法人の指摘をきっかけにおととし8月に調査委員会が設けられ、売り上げの過大計上など業績を実際よりも良く見せる不適切な会計処理をしていたことが明らかになったほか、去年1月には、うその決算情報をもとに公募増資をしていたなどとして当時の東証1部からの降格処分を受けていました。」

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