金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等を、2018年6月8日に公布・施行しました。
企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等の公表を受け、所要の改正を行うものです。
対象は、以下の規則・ガイドラインです。
・財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財規)
・連結財規
・中間財規
・中間連結財規
・財務諸表等規則ガイドライン
・連結財務諸表規則ガイドライン
・中間財務諸表等規則ガイドライン
・中間連結財務諸表規則ガイドライン
・四半期財務諸表等規則ガイドライン
・四半期連結財務諸表規則ガイドライン
具体的には、財規において、以下のような「収益認識に関する注記」を行うなどの改正です。
「第八条の三十二
顧客との契約から生じる収益については、財務諸表提出会社の主要な事業における主な履行義務の内容及び財務諸表提出会社が当該履行義務に関する収益を認識する通常の時点を注記しなければならない。
2 前項に規定する事項は、連結財務諸表において同一の内容が記載される場合には、記載することを要しない。この場合には、その旨を記載しなければならない。」
(財規ガイドライン8の32で「規則第8条の32に規定する注記とは、「収益認識に関する会計基準」が適用される場合の注記とし、同条に規定する顧客、契約及び履行義務とは、「収益認識に関する会計基準」にいう顧客、契約及び履行義務をいうものとする。」とされています。)
「重要な会計方針の注記」に関する規定(財規第八条の二)は変わっていませんが、財規ガイドラインを見ると、「収益認識に関する会計基準」を適用している旨を書くことになっています。
「8の2-7 規則第8条の2第7号に規定する収益及び費用の計上基準には、ファイナンス・リース取引に係る収益及び費用の計上基準等、財務諸表について適正な判断を行うために必要があると認められる事項を記載するものとする。また、財務諸表提出会社が「収益認識に関する会計基準」を適用している場合には、その旨を記載するものとする。」
「売上高」という科目名は変わりません。しかし、財規ガイドライン72-1では「規則第72条第1項に規定する売上高については、各企業の実態に応じ、適切な名称を付すことに留意する。」とされています。
コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方(PDFファイル)によると、表示科目については、ASBJにおける検討結果により、今後明確化される可能性もあるようです。
「契約資産、契約負債又は債権については、財務諸表等規則に従い、従来から用いている科目、もしくは当該資産又は負債を示す名称を付した科目をもって表示するなど、貸借対照表が明瞭に表示されていることに留意した上で適切な科目をもって表示するものと考えられます。
なお、企業会計基準における表示及び注記事項については、企業会計基準委員会において、企業会計基準の強制適用時までに検討することとされており、企業会計基準委員会における検討結果を踏まえ、今後も適切に対応してまいります。 」
「売上高については、本人としての取引か否か等の実態に応じて、適切な科目を用いて表示することが考えられます。
その明確化については、...企業会計基準の強制適用時までに検討してまいります。」
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