2月28日に開催された金融庁の企業会計審議会監査部会で、パブリックコメントを受けて修正された「不正リスク対応基準」の案が示されたという記事。(ただし、28日現在、金融庁のサイトには掲載されていないようです。)
公開草案の段階では基準の名前がなかった(「仮称」だった)のですが、ようやく正式名を付けてもらったようです。
「修正された不正リスク対応基準では、正式名称が「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定について」となった。」
記事を読む限りでは、基準の中身については大きな議論はなかった模様です。
「「審議の背景」では監査人と監査役等との連携について、従来は「期待される」としていたが、修正案では「重要である」と表現を強めた。さらに、「不正リスク対応基準の基本的な考え方」では、従来文末にあった「本基準は、過重な監査手続を求めるものではなく」を文章の前方に配置するなど、「基準の意図を明確にした」(金融庁)。」
「過重な」監査手続をやっていますと公言する監査人はいないわけであり、まったく空疎な文言だと思います。削除すべきでしょう。
中間監査や四半期レビューへの適用についても議論されたようです。
「修正案では不正リスク対応基準と中間監査、四半期レビューとの関係を記述している。中間監査については不正リスク対応基準が「準用される」と記載。また、四半期レビューについては「本基準は適用されない」とした。ただ、「なお」として、四半期レビューを行う中で監査人が「不正による重要な虚偽の表示の疑義」を見つけた場合は、四半期レビュー基準に基づき、追加的手続きを実施すると説明している。この追加的手続きは従来と変わっておらず、あえて不正リスク対応基準に記載するかどうかについて意見が相次いだ。」
「レビュー」は消極的保証であり、一定の手続をやって何もなかったと報告するわけですから、何かがあれば当然そのままでは無限定の結論にはなりません。記事に書かれている案のとおり、追加手続が必要になります。
「中間監査」は性格があいまいな日本独自の制度であり、早く廃止すべきでしょう。レビューの中に、半期決算を対象にするものと四半期決算を対象にするものがあるという整理にすればすっきりします。「レビュー」の場合も、何か問題があれば追加手続をやるわけですから、「中間監査」=「レビュー」という整理で何ら支障は生じません。
金融庁監査部会が「不正リスク対応基準(案)」を議論、「抜き打ち」の説明追加(ITpro)
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