8月13日の日経朝刊に上場企業が監査法人に支払う報酬が2年ぶりに増加に転じたという記事が掲載されています。
「上場企業が監査法人に支払う費用が、2011年3月期に2年ぶりに増加に転じた。決算書が経営実態を正しく反映しているか調べる監査証明業務が微増にとどまるなか、コンサルティングなど非監査業務の伸びが目立った。」
「主要企業が前期に監査法人に払った監査報酬の総額は前の期比5%増の649億円。」
「全体の9割を占める監査証明業務に伴う報酬が1%増と微増にとどまったのに対し、非監査業務は55億円と前の期の2倍となった。」
監査業界にとっては明るいニュースではあるのですが、金額の集計方法に少し問題があると思われます。
「有価証券報告書に開示した数値を集計」ということなので、あくまで、監査人である監査法人に支払った報酬の集計であり、独立性の観点などから監査人でない監査法人に依頼した場合の報酬は集計対象外となっています。(監査人への支払い分で傾向はとらえられるとは思いますが・・・。)
また、対象会社が日経平均株価の算出対象銘柄ですので、中堅企業の動向はこれではわからず、また、100%子会社化により報酬が親会社に集約される影響も考慮されていません。
監査法人が本当に「副業」で稼いでいるかどうかは、監査法人側の決算数値などに基づいて分析する必要があります。大手監査法人は3月決算ではなく、6月や9月が決算期で、これから決算が公表されてくると思いますが、その数値を直接見た方が正確かもしれません。
なお、日経記事では、パナソニックの非監査業務報酬が増えたのは、「パナソニック電工の完全子会社化などで、買収先企業の財務内容の調査や買収価格の算定などを依頼したためとみられる」とかかれていますが、監査人ができるのは財務内容の調査(デューデリ業務)までで、価格算定は独立性違反の可能性が高く、たぶんやっていないと思われます。パナソニックの有報では「完全子会社化に関連するデューディリジェンス業務などについての対価」であると述べています。監査に詳しくない記者が書いているのでしょうか。
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