会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

破綻グリーンシルと補償契約 東京海上、無効視野に調査(日経より)

破綻グリーンシルと補償契約 東京海上、無効視野に調査
売掛債権 架空計上の疑い
(記事冒頭のみ)

東京海上ホールディングス(HD)が、英金融会社グリーンシル・キャピタルとの保険契約を調査しているという記事。

オーストラリアの子会社が、グルーンシルの顧客の売掛債権に対して補償する取引信用保険を引受ていたようですが、そもそも、その売掛債権が架空だった疑いがあるとのことです。

「東京海上は子会社の豪保険代理店BCCを通じ、グリーンシルが持つ顧客企業の売掛債権約8000億円を対象に取引信用保険を提供していたとされる。グリーンシルは顧客企業が製品を販売するときなどに持った売掛債権をまとめて流動化し、投資家の運用対象としている。東京海上が提供する保険は製品の納入先が代金を支払わず、債権を回収できなくなった場合に損失を補償する保険だ。グリーンシルが経営破綻した場合に保険金を支払うものではない。

東京海上はこの保険契約について有効性に疑いを持って調査を始めた。保険の前提となる売掛債権が架空計上された疑いがあるためで、架空計上であればそもそもの保険契約が成立していなかった可能性がある。」

東京海上子会社は、約5000億円の契約分について、2020年7月に契約更新しないことを通知済みだったそうです。

「グリーンシルは、証券化商品の大口の提供先だった運用会社から取引を相次ぎ打ち切られて経営に行き詰まり、8日に倒産法に基づく会社管理手続きに入った。運用会社の取引停止は保険の更新が認められなかったことが引き金になったとされて注目されていた。」

これまでの経緯がわかる記事。

疑惑グリーンシル、事業売却も探る 「公平な金融」急転(SankeiBiz)(ブルームバーグ配信)

グプタ氏という実業家の傘下企業への融資があやしいようです。

「昨年7月、オーストラリアの保険会社がグリーンシルが提供した融資を対象とした保険契約の更新を拒否。同じ頃、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)がブレーメンで急成長しているグリーンシル設立の銀行に対する調査を開始した。

この2つの出来事で問題とされたのはリスクだ。特にBaFinはグリーンシル氏に近い実業家、サンジーブ・グプタ氏との関係に注意を払った。同氏はグリーンシルの早くからの顧客であり投資家でもあった。同氏率いる企業への融資が両氏のコングロマリットの成長を後押ししていた。」

「「金融をもっと公平に」とうたい10年前にスタートしたグリーンシルは、ソフトバンクグループクレディ・スイス・グループなどの投資家やキャメロン元英首相のようなアドバイザーを引き付けた。

そうしたグリーンシルをめぐる急展開は、融資を受けている企業で働く多くの人々の雇用を脅かし、国際的な企業のサプライチェーンのみならず英国の医療制度さえも混乱させている。」

ドイツ当局がKPMGを使って、不正を暴いたそうです。

「BaFinは昨年、会計事務所のKPMGを起用し、グリーンシル銀行の犯罪関連調査に着手。グプタ氏に最終的につながる資産が同行の帳簿にあまりにも多く記載されていることを懸念したためだ。

元商品トレーダーのグプタ氏が率いるGFGアライアンスは、同氏や親族が所有する事業体が緩やかに結び付いたコングロマリットだ。鉄鋼やアルミニウム、再生可能エネルギーなどに広がる同社事業の大半は急ピッチで展開され、英スコットランドから米サウスカロライナに至る一連の取引や投資に5年間で約60億ドルが投じられた。その対象の大部分は、多大な投資を必要とする老朽化した誰も欲しがらない資産だった。

グプタ氏は昨年10月、GFGアライアンスにとって最大の貸し手はグリーンシルだとブルームバーグ・ニュースに述べていた。

KPMGは調査で、グプタ氏が関係する資産に絡む架空取引などの不正を突き止めた。BaFinは声明で「グリーンシル銀行はGFGアライアンスから買い取った売掛金が存在するという証拠をバランスシートで示すことができないことが発覚した」と指摘した。」

そういえば、日本の某上場会社の疑惑でも元首相が登場していました。

ソフトバンクグループが多額の資金を投下しているようです。同グループにすればかすり傷みたいなものでしょうが、普通の会社なら経営責任問題になる規模です。

ソフトバンクG、英グリーンシル破綻前に430億円注入か(日経)

「米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は9日、ソフトバンクグループ(SBG)が経営破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルに対し、少なくとも4億ドル(約430億円)を注入していたと報じた。傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が2020年末に貸し付けたという。」

「企業間金融を手掛けるグリーンシルは、証券化商品の大口の提供先だった運用会社から取引を相次ぎ打ち切られて経営に行き詰まり、8日に倒産法に基づく会社管理手続きに入った。SVFは19年に約14億6千万ドルを出資していた。WSJによると資金はこれとは別枠で、株式への転換権のある負債として提供されたという。

既存の持ち分には経営破綻で大きな損失が生じたとみられる。報道が事実なら破綻の数カ月前に追加拠出した形で、損失が広がる可能性がある。」

グリーンシルのウェブサイト。倒産会社らしいものになっています。管財人がグラントソントンであること、資産売却交渉中であることなどしか書かれていない模様。

https://www.greensill.com/
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