富士通が、IFRS導入公表で株価が上がったという記事。
「昨日発表した前3月期の連結決算が売上高8.7%増、営業利益61.5%増となるなど好調で、今期から国際会計基準(IFRS)を導入し、純利益が日本基準の前期486億円からIFRSでの今期は1132億円の見込みになることが好感されている。」
国際会計基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ(富士通)
「当社グループでは日本のほか、欧州、米州、アジアなど、グローバルに事業を展開し、海外ビジネスの重要性が年々高まってきており、海外拠点を含むグループ会社の会計基準をIFRSで統一し、国内外で一貫した経営管理を可能にします。また、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目指します。」
こちらの資料で、会計処理の差異について説明しています。
国際会計基準(IFRS)の任意適用について(決算短信の一部)(PDFファイル)
のれん償却の影響は97億円(2013年度)であり、会社の規模からするとそれなりの金額です。
年金費用と固有調整という項目が比較的大きいのですが、それぞれ以下のように説明しています。
「年金費用について、IFRSでは数理差異償却費が無くなる一方で、期待運用収益率と割引率を統一することなどにより勤務費用及び利息費用が増加します。」
「固有調整として、国内外子会社の年金制度清算等に伴う損益や日本基準において特別損益に計上された為替換算調整勘定取崩損などが該当します。為替換算調整勘定取崩損についてはIFRS初度適用における免除規定により、IFRS移行日において為替換算調整勘定をゼロとみなすことから移行日前に発生した損失を認識しません。」
為替換算調整勘定については、移行日で利益剰余金に直入するようです。実現済みという扱いということですから、移行日以降、海外子会社を清算したりしても、移行日前の分は損益計算書には表れないことになります。これは、日本基準とIFRSとの差異というより、移行処理の特例によるものです。富士通のケースがどうなのかはわかりませんが、多額の借方為替換算調整勘定を抱えている会社は、IFRS導入により、将来の損益へのマイナス要因の一つが解消されるかもしれません(包括利益でみれば関係ありませんが)。
(日本基準による2014年3月期の実績では、特別損失として「為替換算調整勘定取崩損」が216億円計上されています。)
コニカミノルタ、エムスリーがIFRS任意適用(タビスランド)
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