理事長メッセージ(あずさ監査法人)
監査品質や監査法人ガバナンスについて、金融庁が求めているようなことをそつなく書いています。
「最近の会計不祥事を契機として金融庁により設置された「会計監査の在り方に関する懇談会」の議論を受け、昨年は監査法人のガバナンスに関する議論が活発化した年になりました。当法人では、このような動向も踏まえ、幅広い見識に基づく多様な意見・助言等により法人ガバナンスの強化を図るため、昨年7月に外部有識者により構成される経営監理委員会を設置しました。加えて、昨年9月に、監査品質やその基礎となる品質管理の取組みなどを積極的に開示し、透明性の向上を図ることを目的として「AZSA Quality 2016」を発行しました。さらに、「監査法人のガバナンス・コード」の公表に先駆けて、当法人は、今年7月からのガバナンス体制の在り方について検討を行っており、経営執行機関とその監視機関の明確な分離、独立第三者の活用などにより、実効性と透明性の高いガバナンス体制を構築する予定です。
今後も監査の品質の維持向上を最優先課題とし、より深度ある監査を実施するとともに、Data & Analytics等を活用した監査技法の導入により、品質基盤の一段の強化を図ります。」
PwCあらた有限責任監査法人代表執行役 木村 浩一郎および執行役副代表 木内 仁志のメッセージ(あらた監査法人)(文章の他に動画もあり)
あらたも監査品質に関してはあずさと似たようなことをいっています。
「監査業界におきましても「監査法人のガバナンス・コード」の導入議論、監査監督機関国際フォーラム(IFIAR:International Forum of Independent Audit Regulators)の常設事務局の東京開設など、経済社会における監査の信頼を高めるための積極的な変革が始動しています。当法人も、規制当局・関係諸団体などとの対話、社外の有識者に当法人の監査品質に関する取り組みへの意見を求める機関としての「公益監督委員会」の設置、データ分析の技法の向上やツール開発への投資、AIの監査への利用を検討するAI監査研究所の開設、「監査品質に関する報告書(Transparency Report)」の継続発刊など、監査品質の向上のために、さまざまな取り組みを積極的に実施しています。
PwCは自らの存在意義として、「Build trust in society and solve important problems(社会における信頼を構築し、重要な問題を解決する)」を掲げています。また、当法人では、5つの戦略的優先領域(業務品質、人材、業務収入の拡大/成長、ブランド/存在価値、収益性/トランスフォーメーション)でナンバーワンファームとなることを目指しています。」
業務収入や収益性を目標に挙げているのは正直だと思います。
動画の冒頭では、法人設立(2006年)から10周年を迎えたことにふれています。あらた設立(=中央青山(みすず)分裂)がその後の監査法人業界にどのような影響を与えてきたのか、別の立場の見方も聞きたいところです。
包括代表からのご挨拶(監査法人トーマツ)
監査品質に関しては、自信たっぷりに書いています。
「...こうした変化に柔軟に対応し変えていくことが大切である一方、常に変わらないもの、変えてはならないものがあります。私たちトーマツにとって、それはこれまでの歴史に裏付けされた文化であり、品質に対する考えです。1968年5月、初の全国規模の監査法人として等松・青木監査法人が誕生して以来、一貫して品質を重視してきました。直近では、社会からの期待と責任の重さに応えるべく、トーマツの考える「高品質な監査」を定義した『Audit Quality Report』を初めて2016年12月に発行し、監査先企業を含めたステークホルダーの皆さまに対し監査品質について発信し、理解促進に努めています。トーマツでは、職業的懐疑心を発揮し、不正等を見逃さないとの社会の期待に応え、監査を通じて得た洞察に基づく率直な提言により、企業の健全な成長に寄与すること、これを高品質な監査と考えています。この高品質な監査こそが、私たちトーマツが絶えず磨き続けていくべき強みであり、企業と社会への「信頼と安心感の提供」を使命として心に刻んでいます。「Quality first」のスローガンのもと、企業の財務報告の信頼性の保証を通じた経済社会の健全な発展に貢献するため、一人一人が常に社会的使命を胸に、法人一丸となって高品質な監査を実現してまいります。」
監査法人第1号は太田哲三事務所のはずですが、「全国規模」ではなかったということでしょうか。
イノベーションということで、AIなどにもふれています。
「トーマツは、先進性をもって業界をリードしていきます。アナリティクスや人工知能(AI)、ロボティクスを活用することで、新たな洞察の獲得による提供価値の向上を実現します。監査実務においてすでにAIの活用が進んでいる領域もありますが、これをより広範な領域に適用し、AIを核としたテクノロジーによる先進性を具現化することで、機械に任せる部分は任せ、人でなければ価値を出せない領域に、より多くの時間を費やすことで、価値を高めます。」
ロボティクス(ロボット工学)と監査やコンサルの関係というのは、AI以上にピンときませんが、トーマツでは具体的に何かやっているということなのでしょう。
昨年業務停止処分でお休みだった新日本は、適当なものが見つからなかったので、社外報の対談記事より。日本取引所グループ前CEOの斉藤氏と辻理事長の対談です。
↓
日本経済の活性化と監査法人の未来像(新日本監査法人)
「辻
日本の社会に必要な変化を起こすという意味では、上場企業が対応を迫られているコーポレートガバナンス・コードを有効に機能させることが重要だと考えます。コーポレートガバナンス・コードの導入によっていろいろな視点で意見が交わされ、それが経営に反映される環境が実現できます。
当法人でも650人のパートナーがいて、日本を代表する大手企業を監査するに当たり、監査法人の透明性や説明責任、あるいは経営陣の責任をステークホルダーに示していく必要に迫られています。監査法人のガバナンス・コードの設定は、こうした時代の要請の中で、果たすべき責務だと考えています。当法人のガバナンス・コードについては、規定通りに実行するだけでなく、制度の趣旨と適合した形で実効性がある形で進めていきたいと思っております。斉藤さんには当法人の社外評議員と公益委員会※委員長をお願いしていますが、斉藤さんの目から見た当法人のガバナンスへの取り組みについて、どのように感じていらっしゃいますか。
斉藤
ゴーイングコンサーンやリスクマネジメントなどが非常に重要になっている社会背景の中で、監査の目的や内容が変化していることと、企業も変化していかなければならないことを考えると、監査法人も時代とともに変わらないといけないと思います。それでは何をテーマに監査法人は変わらなければならないかと申し上げると、これまで当法人は無限責任の社員が一体的な組織として経営されていました。クライアントが国際化し、複雑で多様な要望に対応するために、監査の品質を上げることに加えて透明性や説明責任をどのように示していくかが問われてきます。そのために、監査法人も経営とオーナーシップの分離が必要になってきているのではないかと思います。...」
対談の中でふれている「公益委員会」というのは「社外有識者のみで構成され、独立した客観的な立場から公益性を踏まえて経営執行を監視する機能を担う機関。2017年1月に社外ガバナンス委員会を発展的に解消し、設置」とのことです。
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