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「令和2事務年度監査事務所等モニタリング基本計画」の策定について(金融庁)

「令和2事務年度監査事務所等モニタリング基本計画」の策定について

金融庁の公認会計士・監査審査会は、「令和2事務年度監査事務所等モニタリング基本計画」を、2020年7月14日に公表しました。

以下のような内容の10ページ強の文書です。

1 監査事務所をめぐる環境
2 令和2事務年度監査事務所等モニタリング基本計画の考え方
3 オフサイト・モニタリングに係る基本計画
4 検査基本計画
5 モニタリング情報の提供

金融庁検査の傾向と対策にどうぞ。

「2 令和2事務年度監査事務所等モニタリング基本計画の考え方」より、モニタリングにおける重視項目。

「ア 監査の品質の向上に向けた監査事務所経営層のコミットメント

監査の品質を持続的に向上させるためには、トップ自らがリーダーシップを発揮し、監査業務の品質を重視する風土を醸成させることが重要であることから、トップの姿勢を含む経営層の認識及びそれを具体的な施策等に反映させているかなどを把握する。

イ ガバナンス等の経営管理態勢の実効性

ガバナンス等の経営管理態勢や業務管理態勢が、監査の品質の確保・向上に資するものとなっているか検証する。

特に、監査法人のガバナンス・コードを採用している大手監査法人及び準大手監査法人等については、当該コードを踏まえて整備されたガバナンス態勢が監査の品質の向上のために実効的なものとなっているか検証する。

こうした検証においては、金融庁関係部局とも情報共有・連携を図ることとする。

ウ 監査をめぐる動向を踏まえた状況把握

(ア)新型コロナウイルス感染症による監査業務への影響等

新型コロナウイルス感染症による監査手続など監査業務への影響や、監査実施体制の変更など監査事務所の対応状況について、監査事務所の負担を考慮しつつ状況を把握する。

(イ)海外子会社に係るグループ監査

上場会社においては、国内市場の成熟化に伴い成長の源泉を海外の事業展開に求めている中、海外子会社における会計問題が引き続き発生している。こうした状況を踏まえ、海外子会社に係るグループ監査については、監査チームによる海外事業の管理態勢を含む内部統制の評価、海外子会社の監査チームとのコミュニケーション及び監査事務所の組織的な対応状況などについても、重点的に把握する。

(ウ)監査契約の新規の締結

近時、監査人を交代する事例が多くみられるため、大規模上場会社又はリスクの高いと思われる上場会社の監査契約を新規に締結した監査事務所において、当該監査契約に係るリスク評価と対応の適切性に加え、当該監査契約の締結経緯についても検証するほか、当該監査契約が監査事務所全体の監査品質に及ぼす影響も把握する。

エ IT を活用した監査とサイバーセキュリティ対策等の状況把握

大手監査法人や一部の準大手監査法人では、各国の監査事務所単位ではなく、加盟するグローバルネットワークが全体で IT ツールの開発を行うことにより、コストを抑えるとともに開発期間の短縮を図っている。こうしたことにより、AI を活用した会計仕訳の異常値を検知するツールや、不正リスクを識別するためのツールなど、監査業務における IT 化の進展が加速している。

このような監査の IT 化進展の動きは監査の品質の確保・向上に資するものと考えられるため、その進展状況を大手監査法人等へのモニタリングにより継続して把握する。

あわせて、IT 化の進展に伴うサイバーセキュリティ対策の状況を確認することとし、監査手法の深化、複雑化に応じた、人材の確保・育成ができているかなどについても把握することとする。」

監査事務所の規模別の比較的具体的な検査項目は、「4 検査基本計画 」(11ページ~)に記述されています。

当サイトの関連記事(第6期(2019年4月から2022年3月まで)の「監査事務所等モニタリング基本方針」について)
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