レオパレス21が、2010年3月期の連結最終損益が790億円の赤字(前の期は99億円の黒字)になるという記事。
「アパート入居率の低迷を受けて、固定費削減を目的にした構造改革費用など約430億円の特別損失を計上。最終赤字幅は73年の創業以来で最大になった。」
「固定資産の減損など多額の特別損失を計上したのは「(11年3月期以降は)入居率が82~83%でも連結営業黒字を確保する」(深山英世社長)ため。」
言葉のあやかもしれませんが、これでは、来期黒字にするため、意図的に赤字を出したように聞こえます。
特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)
プレスリリースによると特別損失の内容は以下のとおりです。
・事業構造改善損失(29,855 百万円)(開発中止または売却予定となった固定資産の減損額187 億61 百万円、請負工事に係る間接経費の処理方法変更に伴う差額102 億4 百万円、店舗閉鎖に係る費用5 億11 百万円、リース契約の中途解約違約金2 億97 百万円)
・空室損失引当金繰入額(10,342 百万円)
・減損損失(3,237 百万円)
この中でやはり気になるのが、会計処理の変更に関連する、請負工事に係る間接経費の処理方法変更に伴う差額と空室損失引当金繰入額です。
ます、第3四半期をみると未成工事支出金が180億円くらいしかありません。「請負工事に係る間接経費」というのはどこに入っていたのでしょうか。
また、「空室損失引当金繰入額」は、「賃貸事業における空室損失引当金の見積方法について、過去の入居率実績に基づく方法から、将来予測入居率に基づく方法へ変更したこと」によるものだそうです。
「過去の入居率実績に基づく方法」が間違っていたわけではありません。引当金は将来の損失に備えるものですから、本来は将来の空室状況の見積りによって計算すべきですが、将来の空室率=過去の実績、と予想できれば、過去の実績でもよいと思います。ただ、2010年3月期になって、将来空室率≠過去の実績、ではないとわかったのであれば、それは、会計処理の方法の変更というより、見積りの変更であり、特別損失にはふさわしくないかもしれません。(現行実務では金額が大きければ特別損益でもよいということになっているようですが・・・。)
ちなみに、EDINETをみると、この会社は2009年3月期にも空室損失引当金の会計処理変更で特別損失を出しています。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事