この国はいつからおかしくなったの
カジノ法案が成立見込みであることを批判的に取り上げた記事。
カジノは、政治家・官僚用語では、特定複合観光施設(IR)と呼ぶそうです。
「政府も国会もカジノという言葉は使っていない。特定複合観光施設(IR)と呼ぶ。「IR議連」という集まりがある。正式には国際観光産業振興議員連盟。中身は「カジノ議連」である。
最高顧問が安倍晋三、麻生太郎、石原慎太郎、小沢一郎。会長は細田博之。幹事長が岩屋毅、事務局長は安倍の腹心ともいわれる荻生田光一だ。役員だけで36人。自民党が中心だが、民主党から前原誠司、桜井充、公明党は佐藤茂樹が副会長として名を連ねる。維新の会、みんなの党、生活の党の議員も参加し国会議員は140人余が結集する。」
「推進法案(正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」)の中身は、①内閣に首相を本部長とするカジノ整備推進本部を設置、②国の責任でカジノの制度設計を行い法律・政令を作る、③監督機関、納付金・入場料などの検討。これらを一年以内に終えることを明記する。」
「1年後に審議されるはずの「実施法」の原案までカジノ関係者の手で作成されている。成立するとどんなことが始まるのか。関係者の話を総合するとこうなる。
東京ではお台場近辺、大阪は夢島あたりにそれぞれ5000億円を超える巨大施設ができる。兆円規模のカネが動き、外国人観光客ばかりか日本人も参加してバカラやルーレットなど賭博が日常化する。営業するのはラスベガス・サンズなどの国際カジノ資本。彼らの代理人が世界から「賭博好きの金持ち」を呼び集める。
政府機関として「カジノ管理委員会」ができる。違法な営業がないか監視・指導する役所だ。内閣府の外局として設けられる。公正取引委員会や証券等監視委員会と同格の3条委員会で数百人規模の官庁になるという。シンガポールではサイコロや機器に不正が無いか調べる「カジノ技官」だけでも100人以上配置されているという。運営者の犯歴や暴力団との関係を調査し、マネーロンダリングなど不正が行われていないか目を光らせる。」
記事によれば、首都にカジノを作るのは二流国のやることだという意見もあるそうです。また、欧州では、ラスベガスやマカオのような派手なカジノはないそうです。
「財界もカジノ推進に動きだした。経団連は「新たな成長を実現する大規模MICE施設開発について」という提言をまとめた。MICEとは見本市や国際会議など海外から人を集める集客施設。この手の施設は赤字になり易い。中核にカジノを置けば採算が取れる、という身も蓋もない提言である。」
「三井不動産・フジテレビ・鹿島の三社はカジノを中核とした商業施設を東京・お台場に建設する構想を国家戦略会議の作業部会に提出した。 正式発表は法案が通ったあとになるというのに、豪華な施設の図面などが出回っている。
三井不動産は少子化でマンション需要の頭打ちが予想され、フジテレビはテレビ離れ、鹿島は公共事業削減といった状況から新しい儲け口を探っている。この3社にはカジノを経営するノウハウはない。箱モノを用意するだけで運営は国際カジノ資本に委ねることになるだろう。」
「カジノには「訳あり」のカネが集まる。「カジノはタックスヘイブンの出入り口」とも言われる。税金逃れや賄賂など不正利得やテロ資金など素性を知られたくないカネが集まる。客を集めるには規制を緩くすることが必要だ。臆病なマネーはガチガチの監視体制では寄りつかない。
アジアはカジノがブームになっているが、大金を動かす中国人が目立つ。規制の抜け道、官民癒着など制度の歪みによるぼろ儲けがカジノの繁栄の背後にある。日本でカジノを解禁すれば何が起こるか。ギャンブル依存症だけが問題ではない。考えるべきは「社会の品格」ではないか。」
カネの動くところに監査あり、ということで、大手監査法人がカジノ支援に乗り出していることは、当サイトでも取り上げました。監査クライアント相手に減損処理をディスカッションするよりはお金になりそうです。
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そして国際カジノ資本を監査しているのは、グローバルな大手会計事務所のようです。
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