2024 年 10 月期有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ
クシム(東証スタンダード)のプレスリリース(2025年1月31日)。会計監査人から退任通知を受け取る(→当サイトの関連記事)少し前のものです。
有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書を関東財務局へ提出するとのことです(その後の開示によれば承認を受けたそうです)。
当社取締役の田原 弘貴氏に関わる2つの問題を理由としてあげています。1つめは、田原氏が関与していた暗号資産の管理に関するもので、2つめは逆に田原氏から経費支出について指摘があった事項です。後者については、「合理的な根拠なく」と、指摘したことを批判的にいっています。
「(1)田原氏が関与する暗号資産関連業務に関する検証の必要性
2025年1月9日付「社内調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」にて開示しておりました、社内調査委員会の調査報告書にもありましたように、田原氏は2024年5月頃より子会社となる香港法人Degital CredenceTechnologies Limited (以下「DCT」という。)の取締役として香港に一人で赴任し、主に、暗号資産の管理、香港オフィスのバックオフィス業務及び営業活動を行っておりました。また、赴任の時点において当社及び当社子会社のチューリンガム株式会社(以下、「チューリンガム」という。)における一部の暗号資産関連業務について、田原氏のみが関与していた状況にあったところ、香港への赴任後においては、これらの業務について定期的なミーティングや日報の提出を求めていたが、不定期なWebミーティング及びメモアプリでの簡易な報告にとどまるなど、相互チェックの観点で当社及びチューリンガムの監督が必ずしも十分ではない状況でした。そのような状況において、田原氏による、チューリンガムの香港への旅費精算に関する一部の申請内容において、香港赴任前の出張旅費精算では見受けられなかったが、代表である田原氏自身の裁量のもと、詳細の記載がない複数名分の旅費(本来は本人分のみであるべきところ)となっていたこと等、費用精算において不審な点があったうえに、チューリンガムが所有する暗号資産を管理するウォレットの一部について、国外である香港オフィスにおいて、私物とともにこれらをオフィス内にある金庫に保管をしていたことから、その中身を当社及びチューリンガムは確認することができない状況が発覚しました。そのため、当社は、田原氏に資産管理状況についてヒアリングを行い、チューリンガム内部の資産状況との突き合わせを行う事態に発展いたしました。これらの確認を経て、当社及びチューリンガムにおいては、令和6年12月半ばにようやく田原氏から引き継ぎは受けましたが、同氏が管理していた暗号資産の実在性並びにその管理の適切性について、社内及び監査法人からも改めて検証を求める指摘がありました。これは、ウォレットにて保管している暗号資産(特に検証対象の中心となるのはETHといった活発な市場が存在するもの)につき、その実在性及び所有権(チューリンガムが暗号資産ウォレットに物理的にアクセス可能な状況であること)を確認する手続きとして、過去に遡って発生した取引記録を閲覧し、不適切な取引の有無についての確認、さらに本来あるべき暗号資産の数量となるか、個々の暗号資産を他のウォレットに送金することができるか等の実証にて、管理すべき暗号資産の実在性と所有権の帰属について検証する手続きとなります。当該検証及びその監査の手続きが必要となったことで、チューリンガムの決算確定が遅れており、これが当社の連結財務諸表の作成及びその監査手続に影響を及ぼしております。
(2)当社の経費支出の妥当性に関する検証の必要性
当社は、2024年12月24日付「株主提案に対する当社取締役会の反対意見に関するお知らせ」にて開示しておりましたように、田原氏が諸会費及び接待交際費が少数の役職員のみであるにもかかわらず支出総額が高額であるということのみをもって、合理的な根拠なく監査法人に対して当社及び子会社の経費支出の妥当性について疑義を申し立てたことに起因し、改めて当社の経費支出の妥当性について追加となる監査手続が必要となっております。具体的にはDCTにおける香港オフィス家賃支出の合理性並びに、当社における接待交際費や諸会費、旅費交通費における使途の適切性に関する疑義の申し立てではありますが、不正リスク対応上においては連結グループ全体を範囲として、個々の費用にかかる証憑及び支出理由等を確認していくものとなり、これらに対する検証及び監査法人による監査とその対応を要するため、当社の連結財務諸表の作成及びその監査手続に影響を及ぼしております。」
会計監査人が逃げ出したくなるのもわかるような気がします。
それにしても、金額によるとしても、暗号資産の管理はこんなに雑なものなのでしょうか。
最近の同社プレスリリースより。
当社取締役の株式取引に関する社内調査のお知らせ(2025年2月4日)
「当社取締役会において、当社取締役の田原弘貴氏(以下、「田原取締役」という。)が、2025 年1月6日~2025 年1月 28 日の間に、田原取締役が保有する当社株式を異動していた事実が判明しました。
田原取締役による当社株式の取引について、社内規程への違反及びインサイダー取引などの金融商品取引法に係る適切性について、社内調査を行う事を決定しましたので、お知らせいたします。」
代物弁済に伴う連結子会社の異動(株式譲渡)および個別決算における特別利益の計上見込みに関するお知らせ(2025年2月3日)
このプレスリリースによると、借金返済のためにZEDホールディングスという子会社(その傘下にチューリンガムやZaifなど)を譲渡したそうです。
「当社は、本日開催の取締役会において、当社が株式会社カイカフィナンシャルホールディングス(以下、「カイカ FHD」といいます。)に対する借入金の返済について、当社の連結子会社である株式会社 ZEDホールディングス(以下、「ZED ホールディングス」といいます。)の株式を譲渡することによる返済(代物弁済)を決議しました。これにより、2025 年 10 月期の個別決算において特別利益が発生する見込みとなりましたので、あわせてお知らせいたします。
なお、本株式譲渡に伴い、ZED ホールディングスは当社の連結子会社から除外されます。また、ZEDホールディングスの子会社である株式会社 Zaif、株式会社クシムソフト、チューリンガム株式会社、株式会社 web3テクノロジーズ及び Digital Credence Technologies Limited についても当社の連結子会社から除外されます。」
連結から除外されたら(支配しなくなったら)、調査できなくなるのでは。
当社取締役の事実誤認に基づく情報発信に関するお詫び(2025年1月27日)
このプレスリリースで言及されているウェブサイトと思われるウェブサイト。
株式会社クシム(2345)| Kushim |クシムガバナンス改善委員会 -株主ファーストの視点で株価向上と株主利益の最大化を
当サイトの関連記事(社内調査委員会設置に関する昨年12月のプレスリリースについて)
関連報道。
クシムとカイカデジタル、資本業務提携を解消──5億円超の債権問題はZEDホールディングス株式で決着(CoinDesk)
「ブロックチェーン開発を手掛けるクシム(Kushim)は2月3日、カイカデジタル(CAICA DIGITAL)との資本業務提携を解消したことを発表した。2023年9月に締結された提携は、Web3ビジネスの共創やカイカコインの活用、暗号資産(仮想通貨)取引所「Zaif」の運営ノウハウ提供などを柱としていた。
提携解消の背景には、クシムの取締役であった田原弘貴氏の情報漏洩および不適切行為への関与が指摘されている。同氏は2024年11月25日付で辞任勧告を受けており、さらに株主提案を行ったことで経営陣交代の可能性が浮上。これにより債権回収が不能となるリスクが指摘され、提携関係の維持が困難と判断されたという。」
【独自】東証スタンダード企業の現役取締役が、自社に異例の株主提案!「上場企業を実質支配する黒幕」を大暴露(ダイヤモンドオンライン)(記事の一部のみ)
田原氏側の言い分を聞いています。