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ダイナシティ:再生法申請 「不動産流動化事業」が不振

ダイナシティ:再生法申請 「不動産流動化事業」が不振 〓 毎日jp(毎日新聞)

ジャスダック上場のダイナシティが民事再生法の適用を申請し、受理されたという記事。

「米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で金融機関の不動産業向け融資が急減したため、取得した不動産を再開発して転売する「不動産流動化事業」が不振に陥った。」

マンション開発・販売
ジャスダック上場
株式会社ダイナシティ
民事再生法の適用を申請
負債520億7700万円


「2005年6月には当時の代表取締役社長、中山諭氏が覚せい剤取締法違反により逮捕される事件が発生。同氏は社長を解任されたほか、同年8月には子会社の前代表が強制わいせつ容疑で逮捕されていたことが報道されたことで信用悪化を招いていた」というあたりからおかしくなっていたのでしょう。

2006年3月期は約507億円の売上を上げていましたが、「得意としていたコンパクトマンション市場への大手マンションデベロッパーの参入や同業界を取り巻く環境の悪化から2008年3月期の年売上高は約315億6000万円にダウン、損益面はソリューション事業(物件のバリューアップ)において保有している物件および収益性が低いプロジェクト物件の評価見直しなどで多額の特別損失を計上したことで約92億2100万円の当期損失を余儀なくされていた」そうです。

当社民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ(PDFファイル)

会社のプレスリリースでは、倒産の背景について以下のように説明しています。

「昨年来からのサブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱および信用収縮により金融機関の融資体勢が慎重になるとともに、不動産市況が大幅に悪化いたしました。このような事業環境の変化は、特に当社の不動産ソリューション事業の売上および利益に大きな影響を及ぼしました。」

「今期に入り不動産市況の悪化はさらに進み、不動産ソリューション事業にて保有していた物件の売却も進まず、金融機関の新規融資や借換融資が急激に厳しくなったことから、資金繰りにも窮するようになりました。」

株式会社ダイナシティの民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ(PDFファイル)(親会社であるインボイスのプレスリリース)

「ダイナシティ普通株式(平成20年6月30日現在簿価:17億22百万円)については、子会社株式評価を行った上で、減損相当額を特別損失に計上する予定」、「ダイナシティに対する貸付金203億44百万円および保証債務23億72百万円(平成20年10月31日現在)については、ダイナシティが保有する不動産に対して担保を設定しておりますので、担保価値などを考慮した上で、貸倒引当額を特別損失に計上する予定」とのことです。これは個別上の扱いですが、連結決算でも、重要な子会社が継続企業の前提にあてはまらない状態になり、また支配も失ったわけですから、連結範囲や資産の評価などでややこしい問題がありそうです。
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