新興株式市場で近年、粉飾決算など不適切な会計報告を行った企業が増加しているという記事。
「朝日新聞の集計によると、東証マザーズ、大阪証券取引所のヘラクレス、ジャスダックの3新興市場(2009年末で計1221社)で、会計や情報開示が不適切だった企業は05~09年度で計98社。05年度の9社から年々増加し、08年度は29社に上った。98社のうち、粉飾決算などで監視委の刑事告発が4社▽監視委の課徴金納付命令の勧告が15社▽架空取引や企業の重要な情報の非開示などで各取引所から監理銘柄指定や改善を求められたのが延べ38社。」
「監査する立場として、日本公認会計士協会の山田治彦常務理事は「新興企業はビジネスモデルが新しく、従来の監査手法が当てはまらないことがある。不正のチェックが難しい」と話す。」
記事では、具体例としてFOIとシニアコミュニケーションが取り上げられています。
当サイトの関連記事(シニアコミュニケーションの調査報告書について)
こうした状況だと、新興市場への上場については、(当然のことですが)ますますチェックが厳しくなり、対象会社も減ってくると予想されます。
他方で、海外の取引所からの攻勢は強まっているようです。
台湾株式市場:上場に日本企業が関心…東京で説明会(毎日より)
「台湾の証券会社などが5日、東京都内で開いた日本企業向けの説明会には約80社が参加。来日した台湾証券取引所の朱士廷副社長は、日本企業として初めて大手電子機器メーカーが近く上場する見通しを明らかにした。」
「同取引所によると、上場コストが香港やシンガポールの4分の1程度で済むという。」
最終的には日本国内での上場を目指すとしても、さしあたり海外での知名度アップを目的に、日本の市場はパスして、海外市場を目指す動きが出てくるかもしれません。費用があまりかからないのならなおさらです。
もっとも、会計監査は日本で受けなければならず(監査報告書は台湾の会計事務所が出すかもしれませんが、その場合でも他の監査人として日本の会計士や監査法人が監査を行うことになります)、その面でのコスト減は期待できないでしょう。(内部統制監査や四半期レビューが省略できる場合には話は別ですが・・・)
台湾証券取引所(日本語のサイト)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事