ソフトバンクの第1四半期(2006年4-6月)決算の記事。
決算短信を見ると、ボーダフォン買収により、のれんが1兆1600億円にまで膨れ上がっています(3月末と比較して1兆1000億円増)。のれんの償却費はキャッシュ・フロー計算書によれば109億円(2ヶ月分)であり、年間に直すと約650億円です。のれん以外の資産はどのくらい増えているかを見ると、例えば通信機械設備は3月末と比べて4200億円しか増えていません。
キャッシュ・フロー計算書を見ると、投資活動キャッシュ・フローで連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が1兆8300億円計上されていますが、これがボーダフォン買収額に相当すると考えると、買収額の6割以上がのれんということになります。
ちなみに、日本の会計基準ではのれんの会計処理に関しては、償却が必要なので企業にとって厳しいと見られていますが、のれんの減損に関しては、米国基準や国際会計基準に比べて、非常に甘い基準になっています(割引前キャッシュ・フローで減損損失計上を判定するため)。会計基準のコンバージェンスでは、この点も本来は取り上げるべきでしょう。
ボーダフォン買収の影響は、純資産の部にもあらわれています。純資産の金額は第1四半期末で約6500億円ですが、そのうち少数株主持分が約4000億円(当期増は約3000億円)にも上ります。損益計算書では、少数株主利益を引く前の利益が99億円であるのに対し、少数株主利益が85億円もあり、ソフトバンクの株主の取り分である純利益は14億円です。
連結株主資本等変動計算書が今期から開示されていますが、「株主資本」の変動よりも「等」に含まれる少数株主持分の動きの方がはるかに大きいという珍しい現象が生じています。
ソフトバンク平成19年3月期第1四半期決算短信(PDFファイル)
ソフトバンク:携帯基地局増設に4000億円超の設備投資
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