会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

五輪事件(下)「寄せ集め」組織委、統治不全 都・国から出向、大半が未経験者 利益誘導を点検できず(日経より)

五輪事件(下)「寄せ集め」組織委、統治不全 都・国から出向、大半が未経験者 利益誘導を点検できず(記事冒頭のみ)

東京五輪談合事件の解説記事。スポンサー集めに絡んで贈収賄事件が発生し(組織委に入るべきスポンサー料が不当に値引きされていた可能性がある)、また、談合をやられ放題だった五輪組織委のガバナンスを問題にしています。

「入札談合事件で立証のカギを握るのが、森元次長らが作成した受注企業名が記された「一覧表」だ。特捜部は上司がこの表の存在を把握しながらも談合を見逃していたとみている。ある検察幹部は「業務全体が電通任せになっており、組織としての自浄作用が働かなかった」と話す。」

「事件の背景にあるのが「寄せ集め」ともいえる組織の成り立ちだ。2013年9月に招致が決まった東京五輪・パラリンピックの組織委は、東京都と日本オリンピック委員会(JOC)の出資で設置された。局長など主要ポストの大半を都や国からの出向者が占めた。四十数人いた当時の職員を含め、大規模なスポーツイベントの開催に関わった経験者はほとんどいなかった。」

上の方はお飾りの官庁出向者でしたが、実務的には頼りにならないので、それを補ったのが、電通など、民間からの出向者でした。また、理事会や経営会議といった機関も機能していませんでした。

「チェック機能が働かないなか、高橋元理事や森元次長が頼ったのが、もともと関係が深く、大会運営のノウハウにたけた電通だ。スポンサー集めを一手に担う「専任代理店」契約を組織委と結んだ電通は、大会運営に関わるテスト大会事業でも組織委から水面下で助言を求められ、深く関わっていく。」

五輪のような臨時的なイベントでは、利益相反のリスクがある出向者に頼るのもある程度しかたがないのでしょうが、海外の五輪では、同時にチェック体制も設けているようです。

「出向などの形で外部から起用した人材が、出身母体や親密な企業に不正な利益をもたらす行為をどのように防ぐべきか。公金が投入される五輪だけに、海外では民間事業者との取引が適正かどうかをチェックする仕組みが積極的に取り入れられてきた。

12年ロンドン大会は幹部級の職員による「取引承認グループ」が、五輪に関する主要事業を内部から定期的に監査。外部からも下院の決算委員会が継続的に点検し、資金の使途を検査、公表した。24年パリ大会も民間企業との取引内容を検査する仕組みを導入。28年ロサンゼルス大会も理事会の下に「利益相反委員会」を設けて民間が絡む取引を監査する方針が示されている。」

事後的にでもチェックすれば、ひどい談合、経費水増しは、少しは控えるでしょう。ただ、素人が、プロの出してくるもっともらしい金額を本当にチェックできるのかどうか...。

「電通1強」のひずみ、汚職・談合招く 「寄せ集め」の五輪組織委(毎日)(日経よりも先に出ています。)

「電通は、汚職事件では組織委マーケティング局に出向していた社員らが軒並み特捜部の事情聴取を受けたが、一人も立件されなかった。一方の談合事件では、組織委とともに「官製談合」を主導したとして元スポーツ事業局長と法人が起訴される事態となった。

ある検察幹部は「汚職事件は元理事の個人的な問題の側面が強いが、談合事件は電通を中心とする業界の構造的な問題だ。大規模なイベントは電通に任せれば楽なのだろうが、それでいいのか。公金が投じられる中でもっと安く済ませられたのではないか。シンプルな話だ」と語った。

めずらしく、電通もこの件に関し、プレスリリースを出しているようです。

当社及び国内子会社従業員の起訴ならびに外部有識者による調査検証委員会の設置等の対応について(電通グループ)

摘発された他の会社のプレスリリース。

独占禁止法違反容疑による起訴について(博報堂)(PDFファイル)

独占禁止法違反容疑による起訴について(セレスポ)

独占禁止法違反事件による起訴について(フジクリエイティブコーポレーション)(フジ・メディア・ホールディングスの子会社)

当社子会社が独占禁止法違反で起訴された件について(フジ・メディア・ホールディングス)(PDFファイル)(フジテレビではこの事件をほとんど報じていないという説もあるようです。)

課徴金関連。

課徴金、数十億円規模か 公取委、6社軸に審査―五輪談合(時事)

「広告最大手「電通グループ」など各社の受注総額は計約437億円と巨額だ。公取委は起訴された6社を軸に審査する方針で、課徴金額は数十億円規模に上るとみられている。」

入札資格停止関連。

文科省 五輪談合事件で起訴の博報堂など7社を新たに指名停止に(NHK)

「指名停止は今月6日からで、博報堂、東急エージェンシー、セイムトゥー、KADOKAWA、ADKマーケティング・ソリューションズ、サン・アローの6社は9か月間、大広は6か月間文部科学省が発注する事業に参加できなくなります。

東京オリンピック・パラリンピックをめぐる談合事件で、文部科学省など14省庁は、電通、セレスポ、フジクリエイティブコーポレーションの3社に対して、先月15日から9か月間の指名停止の措置をとっています。」

万博に五輪談合の余波 電通、博報堂の相次ぐ入札停止で焦りと懸念(産経)(記事の一部のみ)

「広告業界大手の電通や博報堂などに対し、運営主体である日本国際博覧会協会(万博協会)や大阪府、大阪市は入札参加資格を停止。パビリオンに関する会議の運営などを担う博報堂は令和5年度契約を締結できなくなった。電通は公式キャラクター「ミャクミャク」のライセンス管理を請け負っており、イメージ悪化を懸念する声も。開幕を2年後に控え、関係者は焦りを募らせている。」

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