6月12日に開催された企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の議事次第と配布資料が金融庁のサイトで公開されました。
「これまでの議論の整理」という資料に、IFRSへの対応に関する金融庁の考え方がまとめられています。
すでに報道されているように、任意適用要件の緩和、IFRS の適用の方法、単体開示の簡素化という3つの論点が取り上げられています。
このうち、IFRS の適用の方法を中心に、考え方が比較的はっきり出ている部分を抜粋しました。(文末の「(な)のではないか」などはくどいので削除しています。)
IFRS の適用の方法
○現行の指定国際会計基準は、一部の基準を指定しないことも可能な枠組みになっているという点では一種のエンドースメントであると言えるが、一部の基準を修正する手続を念頭に置いた規定とはなっておらず、実質的にピュアなIFRS のアドプションとなっていることから、一部の基準を修正することができるという意味でのエンドースメントの仕組みが必要
○エンドースメントされたIFRS は、日本が考える「あるべきIFRS」を国際的に示すこととなることから、今後引き続きIASB に対して意見発信を行っていく上で有用であると考えられる。
○エンドースメントの手続きについては、まず、会計基準の策定能力を有するASBJ(企業会計基準委員会)において検討を行い、さらに、現行の日本基準と同様に、ASBJ が検討した個別基準について、当局が指定することが適当であると考えられる。
○IFRS の個別基準をエンドースメントする際の判断基準としては、公益及び投資者保護の観点から、例えば、以下の点を勘案することが考えられる。
・会計基準に係る考え方
・実務上の困難さ(作成コストが便益に見合わない等)
・周辺制度との関連等(各種業規制などに関連して適用が困難又は多大なコストを要する)
(感想:自民党(その一部議員なのかもしれませんが)がIFRS適用拡大を言っているので、金融庁もそのための策を考えているのでしょう。また、当資料によれば委員側から「一部の基準をカーブアウトしたIFRS を使える状態にしておくというのは、一部強制適用の方向を決めたわけでないのに、なし崩し的にその方向に進めるということになりかねない」という意見があったそうです。たしかに、日本版IFRSは受け入れ不能部分を取り除いているのだから、強制適用してもかまわないだろうという理屈はあるのかもしれません。)
単体開示の簡素化
○金融商品取引法における開示制度では、連結財務諸表と単体財務諸表の両方の開示が義務づけられているが、連結財務諸表の開示が中心となっている現在においては、単体開示の簡素化が必要
○単体開示のみの会社については、連結財務諸表の作成負担がなく、単体の簡素化に伴い代替する連結財務諸表の情報もないため、仮にこういった会社に対してまで簡素化を行うとした場合には、連結財務諸表を作成している会社との間で情報量の格差が生じてしまうおそれがあることから、単体開示のみの会社については基本的に見直しを行わない。
(感想:最後の点に関しては、いっそのこと、財規と連結財規を統合して、新・財規でも制定すればいいのではないでしょうか。現行の連結財規をもとに制定し、単独決算のみの会社は、連結に関係する部分を該当なしとして読むようにすれば、連結と単体で開示のレベルがそろうことになります。ついでに、中間財規、四半期財規、中間連結財規、四半期連結財規も、一本の新・中間財規(この「中間」は年度の決算を期間的に区切るという意味)としてはどうでしょうか。そこでは、現行の四半期は、四半期中間財務諸表、現行の中間は半期中間財務諸表という位置づけになります。)
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