6月施行予定のコーポレートガバナンス・コードに人権尊重規定が盛り込まれるという記事。
「金融庁と東京証券取引所は6月に施行する上場企業へのコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)に人権の尊重を求める規定を盛り込む。中国のウイグル族の人権侵害で対中制裁に踏み切った欧米の投資家を中心に問題意識は高い。日本企業の人権意識が低いと映れば投資対象から外れるリスクもあり、指針で自発的な対応を促す。」
プライム市場上場企業が対象だそうです。
「具体的には指針の補充原則の中に「人権の尊重」を盛り込む。企業の取締役会は人権を重要な経営課題と認識し「(対応に)積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきだ」とする方向だ。」
金融庁・東証から先月、コーポレートガバナンス・コード改訂に関する提言書が出た(それを受けて東証がパブコメ募集中)ばかりですか、人権については特にふれていなかったような...。東証パブコメへの意見への対応として、人権を追加するのでしょうか。それとも、フォローアップ会議で議論し直すのでしょうか。
また、日経記事では、海外での人権侵害にふれていますが、国内にも、人権無視の「奴隷労働」があるとみられているようです。海外から商品や材料を調達している会社だけが影響を受けるのではないのでしょう。
↓
世界が「奴隷労働」とみる技能実習制度の虚構 「移民大国」日本・私の提言⑤(朝日)
法令違反が7割超、ブラック企業を次々に生み出す技能実習制度の構造(現代ビジネス)
(補足)
コード改訂案には、サステナビリティー課題の1項目としてすでに織り込まれているようです。
「続きまして、9ページ目でございます。補充原則2-3①では、「取締役会は」として、「気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など」ということで、サステナビリティをめぐる課題への対応について、その事例を示させていただいた上で、「サステナビリティをめぐる課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な事業が向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。」としています。」
(スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第26回)議事録より)
ウイグル問題に対応しているとアピールするために、金融庁が日経に書かせた記事なのでしょうか。
ウイグル問題関連記事。
ウイグルで露呈、アパレル「中国依存」の苦悩
一方でカゴメは新疆産の原材料取引を停止(東洋経済)
「ウイグル問題で、大きな影響を受けた企業の1つが、スウェーデンのH&Mだ。昨年、H&Mは新疆ウイグル自治区の労働者が雇用されている可能性のある工場と取引関係があったとの報道を受け、取引先におけるウイグル民族への強制労働の疑いと懸念から、新疆産の綿花の調達停止などを表明した。
ところがH&Mの対応に対して、欧米諸国の制裁のタイミングも重なり、3月以降中国国内で批判が噴出。同じくウイグル問題への懸念を示した複数の欧米ブランドの不買運動が一気に広まる中、中国で原料調達や取引を行う日系企業の対応からは戸惑いの様子が見て取れる。」
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