1月26日に開催された企業会計審議会監査部会の会議資料が公開されています。
KAMについては、無限定適正意見以外の場合の KAM の記載、経営者・監査役等・監査人の対応等が議論されたようです。
「経営者・監査役等・監査人の対応等」では、KAMと企業による開示との調整が問題となっているようです。
「監査人が KAM に記載しようとする事項について企業が情報を開示していない場合、監査人から追加の開示を促すことが考えられるとの指摘があった。この場合、経営者は当該事項を開示することが求められる一方、企業が開示できないセンシティブな情報もあるとの指摘があったが、具体的にどのような情報が開示できないセンシティブな情報であると考えられるか。
また、監査人が KAM として選定した事項について、開示できないセンシティブな情報であると経営者が考えたとき、経営者と監査人はどのような対応を取ることが求められるか。 」
監査人は会社に開示を充実させるよう指導する立場なわけですが、KAMの方はあまり詳しく書きたくないというのが本音でしょう。もし、KAMと会社の開示の調整(ぴったり整合させる)を強調すると、開示の指導を手ぬるくした方が、KAMの記述も当たり障りのないもので済ませられる、あるいは書かないでもいいということになり、悪いインセンティブが働きそうです。開示を意識しないで、KAMはKAMで必要事項を記載すると割り切った方がよいのでは。
そのほか「KAM の記載以外の監査報告書の記載等の見直し」も議論されたようです。
・監査報告書の記載順序の変更等
・継続企業の前提に関する事項(強調事項のひとつではなく独立区分で記載)
などです。
米国監査基準の改訂項目の紹介として「監査人の在任期間に関する記載」も挙がっています。
適用時期については、EUではすでに実施済みですが、米国では「大規模企業については 2019 年6月 30 日以降終了事業年度、それ以外については 2020 年 12 月 15 日以降終了事業年度」とのことです。日本でも米国より少し遅れるようなタイミングで導入なのでしょう。
11月と12月の会議の議事録
↓
企業会計審議会 第40回監査部会議事録(金融庁)
企業会計審議会 第39回監査部会議事録(金融庁)
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