会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「日本型軽減税率制度」は、本当に使えるのか(東洋経済より)

「日本型軽減税率制度」は、本当に使えるのか
財務省が示した「還付型」の問題点とは?


財務省が示した「日本型軽減税率制度」案についての解説記事(どちらかというと財務省寄り)。与党から「消費税負担の軽減を日々実感してもらえるような仕組みとする」という宿題が課せられたためにこのような案になったのだそうです。


「実は、ここに、今回の財務省案の含意がある。もともと、財務省も軽減税率には消極的だった。だからといって、政権与党の求めに逆らってサボタージュを決め込むことはできない。与党が「消費者が痛税感の緩和を実感できる」ような仕組みを求めている以上、宿題返しとしてどんな仕組みが考えられるか。

この与党の宿題設定の時点で、簡素な給付措置による低所得者対策という政策手段は、選択肢から外されてしまったといってよい。なぜなら、給付によって事実上の負担軽減を行うとすれば、消費者が痛税感の緩和を実感できないからである。」

財務省案は、外国人旅行者に対する消費税免税が原型だそうです(パスポートの代わりにマイナンバーカードを使う)。(あとから還付するという点は違いますが)

「実は、現行の消費税でも、「消費者」の負担を減免する仕組みがある。外国人旅行者に対する消費税の免税がその一例である。

これは、日本の消費税を含む付加価値税制度において、外国で消費されるものには課税しないという世界共通のルールに基づく。外国人旅行者(厳密に言えば非居住者)は、日本で買った品物を外国で消費する「消費者」だから、消費税は免税となる。目下、訪日外国人旅行者が増えており、その対応として、Japan Tax-free Shop(消費税免税店)の許可が得られれば、外国人旅行者が品物を買う際にパスポートを見せれば、消費税の免税が簡単にできるようにした。」

「これと同様のことを、日本国内で日本の消費者(居住者)に対して、店舗にて消費税を軽減する手続きを行うと考えればどうだろう。つまり、パスポートの代わりに、個人を認証するマイナンバーカードを店舗で示し、いったん税率10%で課税されるが、後に対象品目で払った消費税のうちの2%が還付される。これが、「還付型」ともいうべきこの財務省の案の骨格である。」

日本型の長所と問題点を挙げていますが、問題点の方は「あらぬ誤解も広まっている」とみています(このあたりが財務省寄り)。

結論としては・・・

「軽減税率よりも「還付型」の方が、制度的には優れている。しかし、制度導入の初期費用と負担軽減のための多少の手間をかけてでも、こうした消費税の負担軽減を行うのか。代替策として提起されている簡素な給付措置(こちらもマイナンバーが必要)と比較してもなお、国民にメリットがより多いと言えるのか。感情論や政府に対する不信感を超えて、制度やシステムの設計の観点から、冷静な議論と意思決定が必要だ。」

「簡素な給付措置」でいいような気もするのですが・・・。

軽減税率導入が“面倒”なワケ 低所得者の対策は給付金が有効(夕刊フジ)
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