会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

中国の康美薬業、4500億円規模の会計不祥事巡り証監会が処分(ブルームバーグより)

中国の康美薬業、4500億円規模の会計不祥事巡り証監会が処分

(不正の手口が詳しく書かれていないのが残念ですが)中国の証券監督当局が、康美薬業という製薬会社の会計不祥事に関与したとして同社の幹部6人をブラックリストに掲載したという記事。

「康美薬業が証券取引所に届け出た資料によれば、不祥事が起きた当時の会長ほか5人は少なくとも10年間、証券市場への参加や上場企業の幹部あるいは取締役となることが認められない。証監会は同社に罰金60万元(約900万円)の支払いも命じた。

康美薬業は昨年5月、架空の文書や取引記録を用いて現金持ち高を299億元(約4500億円)水増ししていたと公表。同社の財務を巡り当局が数カ月に及ぶ調査を実施していた。康美薬業はコーポレートガバナンス(企業統治)と内部管理に「重大な」欠陥があったと認めた。」

どれくらい悪質な不正だったのかはよくわかりませんが、不正金額からすると、日本の罰則と比べ、軽いように思われます。ただし、日本の例を見てみると、東芝巨額粉飾事件でも、個人に対する処分は、監査法人の会計士に対するものだけで、東芝の役員個人に対しても、何らの処分も科せられていません。日産ゴーン事件のように刑事事件になれば、重い処罰の可能性があるわけですが、そうでなければ、民事上の責任と、痛くもかゆくもない道義上の責任を問われるだけです。中国やその他の国のように、不正に関わった役員や幹部従業員をブラックリストに載せて、上場会社やそのグループ会社に関与することを一定期間禁止するような処分類型を考えるべきでしょう。

記事原文。

China Blacklists Six Executives Linked to $4.2 Billion Fraud(ブルームバーグ)

有価証券に関する罰金の上限は、以前は60万元だったのが、今年3月、1千万元に増額されたそうです。今回の罰金は旧ルールに基づくものですが、専門家は、新ルールでも不正の抑止には不十分な金額だといっています。

Under China’s previous securities law, the maximum fine for securities violations was 600,000 yuan. Penalties were increased significantly with a new law implemented in March: the maximum punishment for wrongful information disclosure at listed companies is now 10 million yuan, according to the CSRC’s website.

The fine “is way to small compared with the massive amount of Kangmei’s financial fraud and definitely not enough to deter any other company to do the same,” said Jiang Liangqing, a fund manager at Beijing-based Ruisen Capital Management. “It is a loophole of the old securities law. He added the new maximum fine is also “not enough to deter financial fraud compared with the benefit these firms can get. Kangmei’s case just once again shows the lack of deterrence for financial fraud in the A-share market.”
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