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エーザイ<4523.T>:米社買収で08年3月期は当期赤字に修正、今期は大幅増益へ

エーザイ<4523.T>:米社買収で08年3月期は当期赤字に修正、今期は大幅増益へ

エーザイが、2008年3月期の連結当期損益予想を785億円の黒字から175億円の赤字に修正したという記事。

「MGIファーマの買収により、特定の研究活動の目的で利用されるインプロセスR&D(IPR&D)874億円を研究開発費として一括計上するほか、無形固定資産償却費31億円、棚卸資産評価アップ分25億円などが発生。営業利益は177億円(前回予想1170億円)、経常利益は188億円(同1210億円)にそれぞれ引き下げた。エーザイによると、MGIファーマの買収の影響がなければ、08年3月期の営業利益は前期比5%増、当期利益は同1%増になるという。」

企業会計基準委員会が昨年末に公表した「研究開発費に関する論点の整理」でも、企業結合で取得した仕掛研究開発の取扱いが論点として挙がっています。研究開発型の企業を買収すれば、当然買収価格の中に仕掛かり中の研究プロジェクトの評価額が含まれます(その金額や内容を特定するのは簡単ではないとは思いますが)。それをどのように会計処理するかという論点です。

外部から買ったものであれ、研究開発費である以上、費用計上だと考えると、エーザイのように一挙に費用として計上してしまうことになります。そうではなく、将来の収益獲得のための資産であると考えれば、徐々に償却していくという処理になります。

現行の日本基準では、どちらの考え方をとるべきかは明確には書かれていないようです。また、海外子会社で当該国の基準を適用し、その基準で一括費用計上とされていれば、それに従う場合もあります(米国基準ではたしか一括費用計上です)。

仕掛かり研究費を一括償却することにより、のれんの一括償却と同じように、結合後の損益をよく見せることができます。

米国MGI PHARMA, INC.の買収による完全子会社化に伴う平成20 年3 月期業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)

プレスリリースによれば、企業結合については「米国会計基準(企業結合会計 SFAS141 号)に基づくパーチェス法で会計処理」したとのことです。

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