東証2部上場「東理ホールディングス」の会長が、会社の第三者割当増資の際、コンサルタント料名目で約17億円を社外へ流出させた疑いがあるという記事。特別背任容疑で強制捜査が行われるようです。
「捜査関係者によると、会長が社長だった平成16年12月、東理HDは「T投資事業組合」を引受先とする80億円の第三者割当増資を公表。会長は17年1~3月、資産流出にあたると知りながら、実質的に支配している学習教材販売会社(東京、解散)とコンサルタント契約を結んで同社に約17億6400万円を支払い、東理HDに損害を与えた疑いが持たれている。」
「問題となっているコンサル料について、会長は今年9月、「コンプライアンス上の責任を感じた」などとして、東理HDに全額返金し、社長を辞任。しかし10月には一転して「費用は妥当だった」とし、代表権のない会長職に就任していた。」
いったん返金されたコンサル料を、代表取締役社長であった福村康廣氏に返還するというプレスリリースが、10月15日に出ています。
(訂正)支払手数料返還金の返還にともなう「特別利益の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ」の全部訂正について(2009年10月15日付プレスリリース)(PDFファイル)
これを読むと、いったん返金されたのは事実のようですが、この元社長から約12億円の不動産を購入する契約を結んで、不動産購入代金という名目で17億円のうち12億円は元社長に支払う予定だったようです。
元社長に返還する理由については以下のように述べています。
「・・・資金調達額に対するコンサルティング費用の比率(手数料率)が過大でないものと考えられること及び契約当時、福村氏は契約先の大株主でありましたが、コンサルティング業務の大部分は再委託されており、コンサルティング費用についても貢献度に応じて大部分が再委託先に支払われており、資金調達業務(当社の増資による資金調達を円滑ならしめるための支援業務等)にも実体があり、対価性にも問題がないと考えられることが判明いたしました。本調査内容につきまして、第三者の弁護士であります早稲本和徳氏に下記の論点についての法律意見書の作成依頼をいたしました。」(意見書の内容は引用省略)
この意見書を受けて、会社はコンサルタント費用は妥当だったといっています。
「平成16 年12 月8日に開示いたしました新株予約権による資金調達8,080 百万円に関するコンサルティング費用1,680 百万円(消費税を含め1,764 百万円)につきましては、対価性及び金額に妥当性があるものと判断いたします。」
いったん社長を辞めて、外見上影響力がない状態にしたうえで、会社に調査をさせて「問題なし」のお墨付きをもらうという手の込んだことをしています(弁護士は頼まれればどんな意見書でも書くのでしょう)。
9月に元社長から入金した際には、特別利益計上の発表を行っています。第2四半期の決算日を挟んだ1ヶ月後に、特別利益計上の取り消しを発表したわけであり、この点も疑わしいといえなくはありません。
産経の記事によれば、「増資に伴う新株譲渡先に暴力団関係者がかかわっているとされ」ているそうです。コンサルタント費用が最終的に流れた先はどこだったのでしょうか。
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