当サイトでも少し前に取り上げましたが、インサイダー事件で金融庁から課せられた課徴金が裁判で取り消された事件の記事。これを読むと、ひどい冤罪事件だったようです。
「疑われていたのは、10年9月29日の東京電力の公募増資に関するインサイダー取引。東電が増資を発表する前に、Hさんが野村証券の営業担当だったAさんから公募増資に関する重要事実を聞き、東電株200株を売り、さらに顧客の米国証券会社X社のトレーダーBさんにも情報を伝えたと、SESCは見ていた。
一方、Hさんによれば、業界では東電が増資するのではないかという噂は流れていたが、それとは違う風評もあった。Aさんとはさまざまな情報や分析を交換しただけであって、重要事実らしい情報を聞いた覚えはまったくなかった。」
判決では...
「Hさんの裁判でも、東京地裁は昨年5月10日、やはりAさんが東電増資の重要事実を「知っていたとは認められない」と判断し、「その余の事実を判断するまでもない」として、国に本件課徴金納付命令の取り消しを命じた。05年に課徴金制度が始まって、金融庁の決定を取り消す司法判断は初めてだった。
国側が控訴したが、高裁判決はAさんが重要事実を知らなかったという事実認定を維持。そのうえで、断片的な情報を組み合わせることによって重要事実を認識するに至った場合も、「重要事実を知った」といえるとする国側の主張に対し、そんなことを認めれば、市場の噂やさまざまな開示情報からの分析や推測と違法行為の区別が曖昧になり、客観性や明確性に欠けると一蹴。
「刑罰や課徴金を課す対象となるのは、あくまで法によって規定されている構成要件に該当する内部情報を取得して行った取引でなければならない」として、Hさんのケースのように、曖昧で恣意的な基準でペナルティを課すこともあった金融庁の姿勢を批判した。」
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