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前代未聞、監査法人が金融庁を提訴したワケ(東洋経済より)

前代未聞、監査法人が金融庁を提訴したワケ
「処分勧告」は内部文書?金融庁が驚きの説明


監査法人アリアが金融庁に対する訴訟を起こしているという記事。

「中堅の監査法人アリアのWebサイトには現在、このような文言が公表されている。

「金融庁の公認会計士・監査審査会が、平成29年6月8日に公表した勧告は、大多数の事実誤認に基づく、虚構の不当な文章であり、当監査法人は、司法の場でその事実を明らかにすべく訴訟を行っております」

6月8日に公認会計士・監査審査会(以下、CPAAOB)が、監査法人アリアに対し行政処分を行うよう金融庁長官に勧告、冒頭の”闘争宣言”はこれを受けて掲出されたものだ。金融庁を訴えた監査法人はアリアが史上初となる。」

この公認会計士・監査審査会の処分に対するアリアの反論と訴訟に至る経緯が書かれています。

「アリアの茂木秀俊統括代表社員は「チェックシートにチェックマークを付け忘れたり、一部のページで押印が洩れていたことをもって確認をしていないとか、検証していないとか指摘されている。また、5年前の検査時には全く問題視されなかったことが今回は問題視されており、甚だ不本意。結論ありきでいいがかりを付けられているとしか思えない」と憤る。

茂木代表によると、今回の勧告の対象になった検査が始まったのは昨年の1月。5年前の前回検査時よりも長期化する中、昨年6月、CPAAOBから「検査結果の確認事項(案)」が提示される。

CPAAOBが検査結果を検査対象の監査法人に対して知らせるもので、監査法人側は内容に不満があれば、「意見申し出」ができる。

アリア側の説明とは異なる内容になっていたため、「意見申し出」を行ったものの聞き入れられることはなく、年が明けると「CPAAOBから勧告を出す手続に移る、と言ってきた」(茂木氏)ので、今年3月27日、金融庁を相手取り、勧告と勧告内容の公表を差し止める訴訟を起こした。」

差し止めは認められなかったので、損害賠償請求などを追加したそうです。

「勧告が公表されたのは棄却から約2週間後。勧告とその公表の差し止めを求めていたのに、勧告され、公表もされてしまった。

そこで7月3日付で「勧告内容がCPAAOBのHPに載り続けているので、これの差し止めと、違法な勧告と違法な公表によって受けた損害の賠償、加えて違法な公表によって受けた名誉毀損への謝罪広告請求に変更した」(代理人の倉科直文弁護士)という。」

アリアを擁護するつもりはありませんが、この訴訟を通じて、公認会計士・監査審査会による検査や処分勧告の透明性が高まれば、大いに意味があると思います。

駆け込み寺という風評に対する反論。

「ただ、アリアには業績不振企業の監査を手掛ける機会が多く、「業績不振企業の駆け込み寺」との風評がついて回っている。

その点は代表社員の茂木氏も認識しているが、「監査は公認会計士の独占業務。やりたくないからやらないなどと言っていいわけがない。業績不振企業でも上場会社ならどんな会社にも監査を受ける権利がある。だが、不正は許さない。引き受けたからには徹底的にクリアにする。そのせいで上場廃止になってもそれは仕方がないこと」と言い切る。

それだけに、「不当に傷つけられた信用は回復したい。泣き寝入りはしない」(茂木氏)という。」

東芝のような大企業の場合は、意見不表明を出したり、監査契約を断ったりすることに対して監査法人・会計士側が責められているのに対し、アリアが監査しているような企業の場合は、監査を引き受けることで責められるというのは、ダブルスタンダードなのでしょう。

当サイトの関連記事(アリアを対象とした処分勧告について)(アリア側の反論についてもふれています。)
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