会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

仮想通貨の新規公開は一体どこが危ないのか(東洋経済より)

仮想通貨の新規公開は一体どこが危ないのか
ICOは中国では全面禁止に、日本の規制は?


「新規仮想通貨公開(ICO)」を取り上げた記事。

クラウドファンディングと同じように3種類あるそうです。

ICOは、資金調達者がビットコインなど換金性のある既存の仮想通貨で資金を調達し、その対価として独自の新規仮想通貨(トークン)を渡すものだ。インターネット上で不特定多数を対象に法定通貨での資金調達を行うクラウドファンディングとの類似性が指摘され、「クラウドファンディングと同様に、ICOも購入型、寄付型、投資型に分類することができる」と大和総研の町井克至主任研究員は語る。

購入型は、資金調達者が将来提供する製品やサービスを受け取る権利としてトークンを渡すものだ。いわば、仮想通貨がクーポン券のようになる。寄付型は、寄付として資金を募るもので、渡されるトークンは何の価値ともリンクしていない。投資型は、さらに融資型、株式型、ファンド型に細分化されるが、要するに将来の配当や利子の支払いなどの形で経済的リターンがうたわれているものだ。

購入型は、一般の製品やサービスのように消費者契約法などの規制対象となるものの、購入型、寄付型ともに、より厳しい金融取引上の規制対象とはならない。これに対して、投資型のICOを行う者は、金融商品取引業者の登録が必要となるなど、金融商品取引法の規制対象となる。」

資金調達者側の会計処理を考えてみると、購入型は前受金的な処理をするのでしょう。寄付型はまるまる利益になるのでしょうが、使途が決められている場合は、その使途に支出されるまでは、負債かもしれません。

金額は、受け入れた仮想通貨の時価でしょう(期末の時価評価はしない)。

投資型は、そもそも何を目的に投資するのかが、よくわかりません。仮想通貨は交換価値はあるかもしれませんが、法的な裏付けは全くありません。資金調達側は、何の義務も負わないわけですから、負債ではなく、また、資本取引にも該当しないので、利益なのでしょう。資金を拠出した方は、資金調達側に何かを要求することはできないので、交付を受けた仮想通貨の時価でBSに計上するのでしょうが、交換価値がなければ、ゼロ評価でしょう。

また、記事によれば、購入型でも仮想通貨の値上がりを狙っている場合も多いそうです。その場合、資金拠出側は、前払金としての権利のほか、仮想通貨の価値をもつことになり、後者については、投資型と同じとなります。寄付型も同様です。

記事の後半は規制の話です。10月15日の日経にも法規制の話が出ていました。

仮想通貨技術で資金調達「ICO」育成か禁止か(日経)(記事冒頭のみ)

「仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)が爆発的に広がるなかで、主要国が動き出した。米国は現行規制の枠内で監督し、詐欺まがいの案件などを除いて実質的に容認する姿勢だ。中国や韓国は全面禁止にした。日本は法整備の是非を探る。」

10月12日のASBJの会議で、「仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する検討」をやっています。

第370回企業会計基準委員会の概要

意見聴取の中で「ICO(Initial Coin Offering)を念頭に置いた包括的な基準の策定を希望する」という意見があったそうです。
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